2014 Fiscal Year Annual Research Report
大衆娯楽におけるヴァラエティの伝統-メディア交流と日米比較の観点から-
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13J07449
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
仁井田 千絵 明治学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レヴュー / 映画館 / トーキー化 / ラジオ / 弁士 / ヴァラエティ / 大衆文化 / モダニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昭和初期の映画館におけるレヴュー公演、同時期の映画関連のラジオ番組について調査・研究を行った。前者のレヴュー公演に関する資料調査は主に早稲田大学演劇博物館で行い、東京の主要な映画館(松竹館、電気館、武蔵野館、邦楽座、日本劇場)のパンフレットからプログラム内容を分析した。また、『スタア:映画とレヴュー』といった映画との関係に重点を置いたレヴュー専門紙が多数出版されていたことが明らかになり、そちらの資料収集も行った。調査の成果は日本映像学会第40回全国大会で口頭発表を行い、複数の映画作品の上映とライヴ・パフォーマンスの組み合わせから成る映画館プログラムのヴァラエティ性、映画館におけるレヴュー導入をめぐった大阪と東京の差異、レヴューがトーキー映画と合わせてモダニズム、アメリカニズムの象徴として捉えられていた当時の言説について指摘した。後者のラジオ番組については、朝日新聞、読売新聞に掲載されたラジオ番組表の調査を中心に行った。ラジオ放送が開始される1925年から映画法が制定される1939年までの期間にみられた映画関連のラジオ番組を、日時、放送局(全国中継の有無)、取り上げられている映画名(洋画/邦画)、出演者(弁士/映画俳優)、その他(主題歌の有無等)に分類し、データベースの作成を行った。調査の成果はKinema Club Conference XIVで口頭発表を行い、弁士による番組から映画俳優による番組への推移、ラジオで取り上げられる映画ジャンルの変化と映画のトーキー化との関連について指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
映画館のレヴュー公演、ラジオにおける映画関連番組についての資料調査を集中的に行うことができた。また、それぞれのテーマで学会の口頭発表を行い、今後の論文執筆に向けた貴重なコメント・助言を得ることができた。さらに、アメリカ初期映画に関する論文の翻訳・解説(『エジソンと映画の時代』森話社)を担当したことにより、新しいメディアの登場とそれが大衆娯楽に与えた影響に関して、初期映画期とトーキー移行期の状況を比較検証することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで行った歴史資料の調査を総括し、論文の形にまとめる作業を行う予定である。その際、大衆娯楽のヴァラエティ性をめぐる理論的体系を整理するため、メディア論、大衆文化論を中心とする関連書籍の購読・ディスカッションを、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所の研究会で定期的に行う。また、国内で不足分の資料調査を米国コロンビア大学図書館、ニューヨーク公共図書館にて行う予定である。
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Research Products
(3 results)