2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波アシスト記録ヘッド用の負の巨大一軸結晶磁気異方性Co基合金薄膜の開発
Project/Area Number |
13J07524
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日向 慎太朗 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マイクロ波アシスト記録 / Co基合金薄膜 / 一軸結晶磁気異方性 / 積層欠陥 / グラニュラ構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は, マイクロ波アシスト記録ヘッド用磁界発振層のための, 巨大な負の一軸結晶磁気異方性(Ku)を有するCoIr薄膜の作製およびグラニュラ化(金属コラム一酸化物粒界の複合構造), ならびにその高周波特性の明確化にある. 研究計画としては, 1-2年目においてCoIr合金の負のKuを増加させるプロセスの確立, 3年目においてそのグラニュラ化を行う予定を立てている. 初年度においては, 巨大Kuを実現する結晶構造を実現させるプロセスについて検討した. 巨大Kuの実現には, まずCo合金の結晶構造として六方原子積層構造と, Co・Irの組成分離構造とを両立する必要がある. 申請者は, CoPt系での実験において, 上記構造がそれぞれCo合金の価電子数, および基板温度の時間変化により支配的に定まることを明らかとした. その結果, プロセスとしては, 添加物濃度20%近辺において基板温度を約350℃一定に保ちながら成膜することで巨大Kuを実現させられる目処を立てた. また, CoIr合金薄膜のグラニュラ化についての検討も前倒しして行った. グラニュラ化における問題点は, 組成分離構造形成のために加熱成膜を行うとグラニュラ化に必須な下地層の凹凸構造が消失する点である. そのため, 申請者は, 基板加熱から下地層の凹凸構造を保護するためのプロセスについて検討した. 具体的には, 凹凸下地層上に金属-酸化物の極薄膜を形成することで凹部に耐熱性の高い酸化物を充填し, 下地層の表面拡散の抑制を実現した. 上記結果は, 国内および国外の学会にて報告した. また, 後者については, 論文が2014年3月に一般公開された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたCo基合金薄膜の構造と一軸結晶磁気異方性との相関明確化に加え, 3年目に予定していた高温でのCo基合金薄膜のグラニュラ化(金属コラム-酸化物粒界の複合構造)についても, 上述の通り目処を立てられたため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在Co基合金結晶粒はグラニュラ化を行うと, 行わなかった場合と比較してKuが半分程度にまで大きく低下する問題が判明している. 今後はその原因について, Kuと下地層の表面形態および合金中の残留物との関係について検討することで明らかとし, 高Kuとグラニュラ構造との両立を目指す.
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Research Products
(5 results)