2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07543
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 一力 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 表面品位評価 / 超精密加工面 / オンマシン測定 / 表面粗さ / 表面異方性 / 残留応力分布 / レーザスペックル / 弾性表面波 |
Research Abstract |
近年、超精密加工に対して光学特性、ぬれ性、摩擦、耐摩耗性などの表面機能を具備した高度な機能表面を創成することが求められている。加工面の表面機能は、表面粗さ、周期構造などの幾何的表面品位と残留応力、表面硬化、微小クラックなどの物性的表面品位により決定されることが知られる。本研究では表面機能を具備した機能表面を超精密加工により効率的に実現することを目的とし、表面品位を加工空間内において評価可能なオンマシン表面評価システムの開発を行う。そのため、非破壊、高効率で加工空間内に適用が可能な表面品位評価法を新たに提案している。 今年度の研究活動においては、これまでに提案を行ってきたレーザスペックルを用いた幾何的表面品位評価の更なる検討を行い、微細表面構造とレーザスペックル光強度の確率密度分布および自己相関関数の関係を実験的に明らかにし、さらに光源波長がその関係に与える影響を明らかにした。また、その結果に基づき、加工面の幾何的表面品位を評価可能なレーザスペックルの特徴パラメータを新たに提案した。特に、先行研究に見当たらない概念として、周期構造の乱れの程度を定量的に評価可能なパラメータを提案した。さらに、試料を回転させた場合における特徴パラメータの値の増減を調べることにより微細表面構造の異方性を評価する方法を示した。微細表面構造における周期構造の乱れや異方性は、従来の表面評価では扱われることは少なかったものの、今後の超精密加工面評価において重要になると考えられる。続いて、非破壊かつ高能率で特殊な環境を必要としない物性的表面品位評価として、電磁超音波法によって励起した弾性表面波を利用する残留応力評価法を提案した。残留応力の存在する金属面での弾性表面波の特性を理論的に考察することにより、残留応力分布の検出を可能とする弾性表面波の励起条件を検討し、弾性表面波観測装置を設計した。次年度は、構築した装置を用いて提案手法の有用性の検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザスペックルを用いた幾何的表面品位評価に関しては、新たなパラメータを提案し、さらに表面異方性の評価法を示すなど、提案手法の適用範囲を広げることができた。また、残留応力分布評価法の提案に関しては、理論的考察に基づいて決定した仕様を満たす実験装置を設計できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案したレーザスペックルを用いた幾何的表面品位評価法に基づき、オンマシン表面評価システムを構築する。今年度の研究より光学系への振動外乱の印加が誤差要因となることが予想されるので、研究代表者が以前に提案した完全非接触構造を有するアクティブ除振ユニットをシステムに組み込むことにより、加工機に起因する振動外乱の影響を排除する。開発した装置を用いて実際に表面評価を行い、その有用性を確認する。また、構築した弾性表面波観測装置を用いて、提案する残留応力分布評価法の適用範囲を確認し、その有用性を示す。
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