2014 Fiscal Year Annual Research Report
理論上限を上回るダイレクトキャリアトラップ型次世代有機EL素子の実現
Project/Area Number |
13J07551
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清野 雄基 山形大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機ELデバイス / ダイレクトキャリアトラップ / エキサイプレックス / 熱活性化遅延蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
実施した研究内容の一つ目は、凝集誘起発光材料を用いた高効率有機ELデバイスの開発で、固体薄膜状態で高い発光量子効率(PLQE)を示す凝集誘起発光材料を開発し、PLQEから見積もられる理論上限値を上回る高効率有機ELデバイスの開発を行った。開発した凝集誘起発光材料の固体薄膜のPLQEは70%と高い値を示し、有機EL素子へ応用したところ、最大外部量子効率 7.8%という理論上限の約1.5倍の高効率を達成した。凝集誘起発光材料は、ホスト材料からのエネルギー移動によるロスを無視できるダイレクトトラップ機構を最大限活用できる有用な材料である。 二つ目はエキサイプレックスを利用した高効率かつ低駆動電圧白色リン光素子の開発で、ワイドギャップなエキサイプレックスをエネルギー移動の媒体として利用することで高性能な白色リン光有機ELデバイスを開発した。検証する中で、エキサイプレックス形成界面を増加させることで大幅な低電圧化につながることを見出した。開発した白色有機EL素子は、CIE色度座標が(0.35, 0.38)の白色発光を示し、1000 cd/m2時に駆動電圧 3.13 V、電力効率 39.6 lm/Wの高効率と低駆動電圧の両立に成功した。エキサイプレックス形成界面を増やすことは発光層全域にわたって効率的なエネルギー移動を可能にする有用な手法である。 三つ目はエキサイプレックスを利用した緑色TADF有機ELデバイスの高効率化で、緑色TADF材料として4CzIPNを用いて、発光層と電子輸送層界面で形成されるエキサイプレックスからのエネルギー移動による高効率化を図り、Ir(ppy)3を用いた緑色リン光素子と比較した。TADF材料を用いた素子の最大電力効率は98.9 lm/WとIr(ppy)3を用いた素子の最大電力効率 114.4 lm/Wに迫る高効率を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ダイレクトトラップ機構を最大限に活用するために固体薄膜状態で効率的に発光する凝集誘起発光材料に着目し、理論上限を大きく上回る高効率な素子の開発に成功した。また、従来有機EL素子において効率低下の原因の一つと考えられているエキサイプレックスであるが、ワイドギャップなエキサイプレックスであればエネルギー移動の媒体として用いることで、高効率な白色リン光素子および緑色TADF素子を実現できることを実証した。さらにエキサイプレックス形成界面を増加させることで大幅な低電圧駆動を可能にするという画期的な手法を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、エキサイプレックスからのエネルギー移動を利用した高効率有機EL素子の開発を行って行く。深い青色発光材料のホストとして利用出来るワイドギャップなエキサイプレックスを探索する。また、エキサイプレックス内の三重項励起子の逆項間交差を利用し、生成した100%の一重項励起子を蛍光発光材料へエネルギー移動できれば、これまで外部量子効率の上限が7.5%と言われてきた蛍光素子においてリン光素子と同等の高効率が達成可能となるため、このエキサイプレックス内アップコンバージョンを利用した高効率化について精力的に着手していく。
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Research Products
(2 results)