2013 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援教育教員におけるメンタルヘルス体制・対策と精神健康との関連に関する研究
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13J07552
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森 浩平 東北大学, 大学院教育情報学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 特別支援教育 / 教員 / 精神健康 / ストレス / うつ / メンタルヘルス対策 / 対処行動 / 心理 |
Research Abstract |
研究課題の一部である職業性うつ尺度の開発及びメンタルヘルス対策検討のための知見の収集として、近年の一般企業におけるメンタルヘルス状況の整理を踏まえ、リストラを免れた従業員の心理的反応について文献研究を行った。また、特別支援教育に携わる教員209名を対象に質問紙調査を2013年7月及び8月に行い、特別支援教育に携わる教員の雇用形態及び勤務地域と精神健康との関連について検討をした。雇用形態に関して臨時・非常勤の教員の方が本務の教員よりも逃避的対処行動をとりやすいことが示唆され、勤務地域に関しては離島の教員は本島の教員よりも自己効力感をもつことができていないということが示された。 また、研究課題の一部である職場におけるメンタルヘルス体制・対策の実態把握について今後検討するため、2012年8月に特別支援学校教諭免許状を未取得で障害児の指導を担当している教員102名を対象に行った質問紙調査のデータから、ストレス対処能力(Sense of Coherence)に関する分析を行った。さらに、2011年7月に特別支援学校に勤務する教員106名を対象に行った質問紙データから、職場環境(Work Situation)に関する分析を行った。ベテラン教員は若手教員に比べ自分の人生や生活に対して意味があると感じられていない、ベテラン教員群は若手教員群に比べ能力開発・福利厚生・生活サポートの面で満足していない、教員は職務または同僚や顧客との関係に不満があるほど社会的活動障害へ陥る可能性が高いといった分析結果を報告した。さらにストレス対処能力(Sense of Coherence)については、特別支援教育に携わる教員に対しても機能することを裏付ける結果が得られ、特別支援教育教員のメンタルヘルス改善のためのストレス対処能力の保持・増進の必要性が示唆された。得られた研究成果は、メンタルヘルス対策の具体的プログラム検討に活用し、特別支援教育に携わる教員のメンタルヘルス改善につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
職業性うつ尺度の開発と職場におけるメンタルヘルス体制・対策の実態把握に関する知見が、文献研究及び調査研究から得られている。また、職業性うつ尺度の作成のためのデータ収集も部分的に始め、メンタルヘルス改善のためのプログラムの内容についても医師や臨床心理士とともに検討を重ねており、当初の計画通りに研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
職業性うつ尺度のデータ収集に関して、臨床群についてはデータの収集を始めており、一般群について調査協力を依頼している企業からデータの収集を行う。その後、収集したデータから信頼性・妥当性および区分点の検証を行う。 また、研究成果を踏まえて医師や臨床心理士とともに検討した、メンタルヘルス改善のための具体的なプログラムを企業において実施する。プログラム実施の事前、事後、2週間後等のメンタルヘルス状況等の項目について質問紙調査を行い、その後得られたデータからプログラムの効果検証を行う。
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Research Products
(8 results)