2014 Fiscal Year Annual Research Report
非リン酸化およびリン酸化タウタンパク質と微小管の結合自由エネルギー計算
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13J07605
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅澤 公二 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然変性タンパク質 / タウタンパク質 / リン酸化 / 微小管 / 自由エネルギー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度計画の遅れを取り戻し、当初の計画に見合うように研究を実施した。441残基タウタンパク質の非リン酸化体、T231リン酸化体、S262リン酸化体およびT231&S262両リン酸化体の構造集団を現在開発中の側鎖粗視化モデルによって算出することができた。さらに、タウタンパク質以外の天然変性タンパク質についてリン酸化による立体構造集団の変化を明らかにすることができ、天然変性タンパク質のリン酸化に共通する特徴を捉えることができた。この成果は学術学会にて発表し、現在は専門雑誌に投稿する準備を行なっている。さらに、微小管-タウタンパク質の結合計算へ向けて微小管の天然変性領域の計算を実施中である。 本年度計画からはタウタンパク質の結合相手である微小管が計算対象となる。微小管の最小構成単位であるαβ-チューブリンヘテロ二量体について計算を実施している。このαとβ-チューブリンにはそれぞれ3カ所に天然変性領域があり、とくにC末端天然変性領域(CTT)はタウタンパク質との相互作用が予想されている。そこで、CTTを含め、このヘテロ二量体の天然変性領域の空間分布を調べた。計算系にはあらわな溶媒分子中で全原子モデルのヘテロ二量体を用いた。2本の分子動力学計算を実施し、それぞれ2.0マイクロ秒以上のトラジェクトリを得た。計算途中ではあるが、CTTの空間分布が2本のトラジェクトリで同様なものが得られており、十分にサンプリングができつつある。CTTの空間分布からは微小管重合脱重合におけるCTTの役割が示唆され、微小管-タウタンパク質との結合計算を実施していく上で有益な結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では昨年度に引き続き、粗視化モデルの開発とその適用を行なった。昨年度では当初の予想よりもタウタンパク質の構造サンプリングが困難であることがわかり、本年度では計算資源の拡充を行なった。そうすることで、研究課題の計算ができはじめている。また、当初の研究課題を前倒しして、昨年度の計算モデルよりも粗視化度合いを上げた(側鎖だけではなく主鎖部分も粗視化した)モデルのパラメータ調整を行なった。今後は、当初の研究計画の最終目標(微小管-タウ蛋白質の結合計算)を達成するために計算資源と粗視化モデルを活用して結果を得られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は当初の最終目標である微小管-タウタンパク質の結合計算を実施し、微小管結合時のタウタンパク質構造集団を明らかにする。微小管にはαβ-チューブリンへテロ二量体(天然変性領域を含む896アミノ酸残基)を16個使用し、タウタンパク質(441アミノ酸残基)との合計14777アミノ酸残基の大規模な計算系に取り組む。このような大規模な計算系の計算を実施するため、今年度開発中の主鎖部分も粗視化した計算モデルを適用していく。
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Research Products
(2 results)