2013 Fiscal Year Annual Research Report
革新的人工合成ロングペプチドを用いた癌ワクチン治療開発に関する基盤的研究
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13J07641
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増子 和尚 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / ロングペプチド |
Research Abstract |
当該年度における研究では、より効果的な癌ワクチン治療を行うために作製したH/K-HELPによる抗腫瘍勧果と作用機序の解明を目的とした。仮想癌抗原であるOVAのH/K-HELP (OVA-H/K-HELP)を作製し、C57BL/6マウスにCpG-ODNアジュバントと共に免疫したところ、抗原特異的CD4+およびCD8+T細胞溺誘導された。また、OVAを発現している癌細胞株であるEG7を用いて、担癌マウスモデルを用いた治療実験を行った結果、約8割の個体で癌の完全退縮が見られた。また、H/K-HELP免疫後にEG7を担癌した際、癌細胞が排除されるという予防効果も示された。これら抗腫瘍効果の作用機序を生体内におけるH/K-HELPの抗原堤示に着目して解析した。その結果、H/K-HELPは所属リンパ節の樹状細胞にのみ抗原提示され、さらには長期間生体内で抗原提示されていることを明らかとした。また、H/K-HELPデザインのリンカー部分アミノ酸配列を、グリシン配列からプロリンやアラニン配列に置換すると抗腫瘍免疫応答が著しく減弱したので、H/K-HELPにおけるリンカーデザインの重要性が示された。さらに、従来のショートペプチドやロングペプチドと比較検討を行った結果、より効果的なく腫瘍効果を得るためには、長いペプチドの中にキラー、ヘルパー両エピトープが存在することが重要であることを証明し、癌ペプチドワクチン治療におけるH/K-HELPデザインの有用性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、樹状細胞による抗原提示の持続性が従来のペプチドに比べて長いことが分かった。また、H/-HELPは接種局所の樹状細胞特異的に抗原提示されるため、より効率的に抗腫瘍免疫応答を増強することが分かった。従って、当初の目的だったH/K-HELPによる抗腫瘍免疫誘導のメカニズムを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
H/K-HELPが樹状細胞に取り込まれると何故長期間抗原提示が持続するのかをCDllc-DTRトランスジェニックマウスを用いた実験で明らかにする必要がある。ヘルパーT細胞からのヘルプ作用は抗腫瘍効果に本当に影響しているのかをCD4 depetion抗体やノックアウトマウスを用いた実験が必要である。リンカー部分アミノ酸はグリシン5つが最適なのかを各種類のペプチドを用意して検証する必要がある。
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Research Products
(3 results)