2014 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期から成人にわたる医療薬学的視点からの生活習慣病予防に対するアプローチ
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13J07756
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
保坂 実樹 東北大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家庭血圧 / 上腕-足首間脈波伝播速度 / 降圧薬 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、家庭血圧をツールとして、成人の降圧薬の薬効評価および妊婦・授乳婦の薬剤使用が小児の家庭血圧および成長に及ぼす影響を検討することを目的としている。 今年度は、未治療本態性高血圧患者に対する第一選択薬として、3種類の降圧薬(Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARB)が動脈硬化に及ぼす影響を、HOMED-BP研究の対象者を用いて検討した。動脈硬化指標として上腕-足首間脈波伝播速度 (brachial-ankle pulse wave velocity; baPWV) を使用し、割付時および追跡中1度でもbaPWV 測定を行った222名 (平均59.0歳、女性55.4%、平均追跡期間4.0年) を解析対象とし、割付時から追跡後のbaPWVの変化量を3群間で比較した。割付時および追跡後の家庭血圧値に割付薬剤3群間で有意差は認められなかった(P>0.1)。割付時baPWVおよび追跡後の変化量の平均値は、Ca拮抗薬群 (75名)で1667.9cm/sおよび-174.0cm/s、ACE阻害薬群 (63名)で1589.8cm/sおよび-123.5cm/s、ARB群 (84名)で1639.6cm/sおよび-161.5cm/sであり、PWVの変化量は3群間に有意差を認めなかった。(p>0.12) 以上の結果より、本研究からは、追跡後家庭血圧値に差が認められない場合は、我が国で頻用されている3種類の降圧薬とPWV値の長期変化との関連性は同程度であることが示唆された。 本研究結果は、本態性高血圧患者のより適正な降圧治療および降圧薬選択において重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的は、家庭血圧をツールとして、成人における降圧薬の効果の評価と降圧薬がもたらす代謝系への影響、および小児における家庭血圧に妊婦・授乳婦の薬剤使用が及ぼす影響を明らかにし、医療薬学的視点から脳心血管疾患予防に対するエビデンスを構築することである。 本年度は成人における降圧薬第一選択薬の違いが動脈硬化に及ぼす影響の検討を行い、おおむね研究目的にそって研究を進めることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の2年目の達成度としてはおおむね順調に進展させることができた。成人においては最終年度も、申請書中の年次計画に沿って、また、1,2年目の計画で実施できなかった点を中心として計画を推進する。また、これまでの結果を論文としてまとめる。 小児においては、母親の妊娠中の薬剤使用状況等の把握が少々難航している。最終年度も追跡調査の実施計画を行いながら、周産期情報と7歳調査の情報を中心として、小児の循環器機能に及ぼす影響を検討し、結果の論文化を進める予定である。
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Research Products
(11 results)