2013 Fiscal Year Annual Research Report
機能性RNAリボザイムを用いた点変異高識別型遺伝子治療薬の創製
Project/Area Number |
13J07758
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗山 光博 東北大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 機能性RNA / リボザイム / 点変異 / 遺伝子治療薬 |
Research Abstract |
点変異が原因となって起こる点変異疾患に対する治療法では、変異した点変異疾患遺伝子選択的に遺伝子発現を抑制する技術が確立されていないことが問題となっている。そこで点変異疾患への新規遺伝子治療薬の創製のために、一塩基の差異を識別して変異mRNA鎖を切断する機能性RNAの作製(即ち点変異疾患遺伝子選択的発現抑制)を目指した。 点変異疾患への新規遺伝子治療薬の創製の第一段階として、本年度は遺伝子治療薬として利用可能な機能性RNAの探索に着手した。探索にあたり、pseudoknot型hammerhead ribozyme (PK-HHRz)に着目した。PK-HHRzは、構造中のloopIとloopII領域で塩基対(この塩基対をpseudoknot二重らせんと呼ぶ)を形成するhammerhead ribozymeである。そして興味深いことに、pseudoknot二重らせんが形成できない基質RNA鎖に対する基質鎖切断活性は、同二重らせんが形成できる基質RNA鎖と比較して著しく低下することが報告された。この特徴は、厳密な標的認識が要求される遺伝子治療薬への利用に適した特徴である。つまり、標的変異遣伝子配列とpseudoknot二重らせんを形成できるように配列設計したPK-HHRzは、その変異遺伝子選択的に切断活性を示すと考えられる。しかし、3つあるPK-HHRzのトポロジーの内、遺伝子治療薬に応用可能なトポロジーはtypeIであるが、既にpseudoknot相互作用の役割が報告されているトポロジーはtypeIIである。そこでtypeIPK・HHRzが遺伝子治療薬として応用可能かどうか詳細な検討を行った。その結果、typeIPK-HHRzの切断活性は、pseudoknot二重らせん形成の有無によって制御されることが分かった。また、検討した範囲内ではpseudoknot二重らせん部位の配列依存性も観測されず、loopIとloopIIの配列相補性のみに依存してpseudoknot二重らせん形成がなされることが解った。そのため、typeIPK-HHRzは遺伝子治療薬として利用可能な機能性RNAであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9. 研究実績の概要に記したように、遺伝子治療薬に応用出来得る機能性RNAを見出した。 本結果はNucleosides, Nucleotides and Nucleic Acidsに報告した(研究発表の欄参照)。そのため、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、遺伝子治療薬として応用可能と考えられる高活性な機能性RNAを見出した。そのため、今年度の結果を基にして、来年度は点変異疾患に対する遺伝子治療薬として応用可能な機能性RNAの創製に着手する。具体的な研究計画は申請書に記載した通りに進める。研究計画書に記載した点変異応答性機能性RNAの設計指針に基づき点変異応答性機能性RNAを作製し、in vivo及びin vitroでの活性評価系を用いて一塩基の差異によって活性が制御されるかどうか評価する。
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