2014 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れをもつ感染症モデルを含む非線形力学系の漸近挙動及び定性理論
Project/Area Number |
13J07819
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江夏 洋一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微分方程式 / 安定性 / Lyapunov汎関数 / 感染症モデル / 時間遅れ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に得た, ベクターボーンの感染流行ダイナミクスを記述するモデルの平衡解の安定性解析手法を, HIV感染モデルの大域挙動の解析に応用することが出来た. はじめに, 細胞性免疫応答(cell-mediatedimmune response)および液性免疫応答(humoral immune response)を考慮した変数 : 1. (非感染)標的細胞, 感染細胞, ウイルス粒子の数 2. ウイルス特異型の細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte)の数, 抗体応答からなる系の時間大域的挙動を調べた. 単位時間あたりの新規感染細胞数を規定する接触項である非線形関数に対して, 感染平衡点の存在性と一意性を調べるために, 標的細胞数について単調増加であることに加えて, 感染細胞について単調増加かつ下に凸であることを仮定している. 各感染平衡点の大域安定性を得るために, 適切なLyapunov汎関数を構成し, 4つの基本再生産数を用いた安定性条件を導出した. その条件は, 標的細胞が感染能力を有するまでのタイムラグと感染細胞のウイルス粒子複製ラグのいずれにも依存しない. また, 離散的な時間遅れをもつ感染モデルにおいても同様の結果が得られたことも特筆したい. 本結果は, 査読付き国際誌Applied Mathematics and Computationに出版された(13. 研究発表欄の1番目を参照). 次に, ヘルパーT細胞数の変動がロジスティック成長に従う感染モデルにおいて, 感染細胞の核内にあるCovalently closed circular(ccc)DNAの損失によって, 感染細胞が非感染細胞に戻る効果を考慮した場合に, 系がパーマネントであるための十分条件に加えて, Lyapunov関数法および単調反復法を用いて感染平衡点が大域安定であるための十分条件を得た. 本結果は, 査読付き国際誌Mathematical Methods in the Applied Sciencesへの掲載が確定している(13. 研究発表欄の2番目を参照)
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Research Progress Status |
就職による早期終了のため、研究期間の最終年度にあたり, 記載しない.
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Strategy for Future Research Activity |
就職により平成27年3月31日付け特別研究員辞退
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Research Products
(6 results)