2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイノリティをめぐる社会変動の地理学的研究-場所の記憶の変遷から
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13J07847
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
全 ウンフィ 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 場所感覚 / 空間的表象 / 在日集住地域 / エスニック空間 / 地域参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続きマイノリティの集住地域をとりまく地域発の変動を地理学的場所概念から分析することを目的に、次のように研究を実施した。第1は、博士学位論文の執筆とそれにかかわる資料の収集と整理である。第2は研究交流を通した理論的背景の練り上げである。第3に、研究成果の地域・市民的発信及び応用である。
まず第1に対象地域における参与観察を通して収集した資料の整理である。本研究は対象地域に係る諸主体による手書き及び音声資料の分析を研究方法としており、その保管と分析ソフト使用のためには資料の電子化が不可避であった。なお、採択以前に収集した資料も報告者の日本語や日本社会の理解の変化とともに再検討を要した。結局当初の計画通りに学位論文の完成まではいたらなかったが重要な段階となった。整理した資料は学術誌や研究報告で発表している。 その結果、対象の在日集住地区が朝鮮半島に対する越境的場所感覚をもつ地域住民によって新たな言説実践の場となったことが示され、この発見は第2に、研究交流を通した理論的練り上げにつながった。国際高麗学会(6月)では在日表象自体に韓国・北朝鮮などの複数の集団像が含まれることが確認でき、EARCAGと日本地理学会(7・9月)では、地域における非可視的境界のダイナミックスによってエスニック空間に対する場所感覚も変化することが察知された。
以上の研究実施によって「マイノリティ/人々」と「社会変動」に記した概念軸を「よそ者(外部からの流入人口)」の介入による「地域変動」へと精巧化できた。この視点はエスニック空間表象を民族国家的な表象の政治の対象のみならず、様々な集団像を喚起し、様々な人々による地域介入を生み出す地域環境として捉えられる点で重要である。報告者は大阪市に対する論考でこの視点を応用/考察し、なおかつ市民活動の歴史的記録としてその地元報告のアウトリーチ活動も行なった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
Webページ(1)※:全 ウンフィ「京都府宇治市の地域新聞『洛南タイムス』における在日及び圏内在日集住地区・ウトロに関する記事一覧(1946~2010)」『空間・社会・地理思想』18、2015、59-90頁)。
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Research Products
(5 results)