2013 Fiscal Year Annual Research Report
フザリウム病菌における病原性関連因子Six4の機能解析と病害防除技術への展開
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13J07857
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
柏 毅 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Fusarium oxysporum / 病原性関連遺伝子 / mRNAシーケンシング / 抵抗性誘導 |
Research Abstract |
本課題では、トマト萎凋病菌Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici (Fol)とキャベツ萎黄病菌F. oxysporum f. sp. conglutinans (Foc)が共通してSIX4遺伝子を持つにもかかわらず、Folでは非病原力、Focでは病原力という異なる機能を司っていることに注目、この差を分子生物学的・ゲノム科学的に比較解析することで、病原菌-宿主植物相互作用、病原性進化・分化機構の解明、さらには、その成果に基づく新たな病害防除法の確立を目的とするものであり、そのために、以下の1、2の2項目の研究を推進している。 1 SIX4に基づく病原菌-宿主植物相互用、病原性進化・分化機構の解析 トマト萎凋病菌およびキャベツ萎黄病菌に蛍光タンパク質発現カセットを導入、両病原菌の感染過程の観察を完了した。観察の結果、トマト萎凋病菌のSix4により誘導されるトマトの抵抗性が病原菌の接種4日後に誘導されていること、また、キャベツ萎黄病菌のSIX4破壊によって接種4日目以降の感染が遅延する事が示唆された。以上から、次世代ゲノムアナライザーを用いた発現遺伝子の網羅的解析の時期を病原菌接種4日目とした。現在はシーケンシングが完了し、両病原の発病機構の解析を進めている。 2 Six4を利用した新たな病害防除技術の確立 トマト萎凋病に対する新規な生物防除資材の創成を目指し、非病原性F. oxysporum株へのSIM4遺伝子発現カセットの導入や、大腸菌でのSix4タンパク質の大量発現系の確立も完了した。現在は、トマトに処理して抵抗性誘導能および発病抑制効果の評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の計画通りに進展している。現在までに、トマト萎凋病菌およびキャベツ萎黄病菌の遺伝子発現解析時期の決定、およびmRNAシーケンシングが完了している。また、Six4の機能を応用したトマト萎凋病防除資材の候補となる菌株の作出・タンパク質の生産方法も確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
トマト萎凋病菌およびキャベツ萎黄病菌の遺伝子発現解析を進め、病原菌諸主の関係決定に関わると推定される遺伝子を選抜する。候補となる遺伝子を選抜した後は、遺伝子の破壊株/発現抑制株/過剰発現株等を作出、野生株と表現型を比較し、病原菌-宿主植物相互作用への関連を明らかにする。 現在までに作出を完了したトマト萎凋病防除資材の候補となる菌株・タンパク質資材について、トマトの抵抗性誘導能、および、萎凋病発病抑制効果の評価を進める。
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Research Products
(6 results)