2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素金属-酸化膜-半導体デバイスの放射線誘起破壊現象に関する研究
Project/Area Number |
13J07883
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
出来 真斗 徳島大学, 先端技術科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭化ケイ素 / シングルイベント / 金属-酸化膜-半導体 |
Research Abstract |
炭化ケイ素金属-酸化膜-半導体デバイスの放射線誘起破壊現象に関する研究を研究実施計画に則り、行った。具体的な研究の意義は、金属-酸化膜-半導体(MOS)構造を有するデバイスでは、放射線入射によりゲート酸化膜が破壊されるSingle Event Gate Rupture (SEGR)が発生することが問題となるため、SEGRの発生を抑制させるという点である。具体的な研究の目的は、超低損失パワーデバイスへの応用が期待されている炭化ケイ素(Sic) MosデバイスのSEGRを把握するため、イオンの線エネルギー付与(LET)とSEGR発生の関係とSEGR破壊機構を調べることである。具体的に行った研究内容は、異なる雰囲気でゲート酸化膜を作製した六方晶(4H) SiCMosキャパシタに、印加電界を増加させながら重イオン(LET : 23.8~94.2MeV㎠/㎎)を照射し、ゲート酸化膜が破壊する電界強度(Eer)とLETの関係を調べた。その結果、Ecrの逆数(Eer_^<-1>)がLETに対して直線関係にあること、酸化膜作製条件や酸化膜厚さによってEerの絶対値は異なるがEer_^<-1>-LETの傾きは同じであることが判明した。Eer_^<-1>-LETに直線関係があることは、これまでにsiMosでも報告されているが、sicはその傾きがsiと比較して1/3であり、SEGR耐性に優れていることを見いだした。考察の結果、ワイドバンドギャップ半導体であるSiCは電子一正孔対生成エネルギーが大きいことから電荷発生量が少ないためMos界面の電界強度の一時的な増加が小さく、SEGR耐性に優れていると結論した。当該年度で得られた研究の成果は、査読付き論文誌に受理・掲載(Nucl. Instrum. Meth. B 319 (2014) p. 75)、SiC及び関連材料国際会議(ICSCRM2013,2013年9月、宮崎)で論文発表(Mater. Sci. Forum778・780 (2014) p. 440)するとともに、学位論文としてまとめ博士の学位を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
種々のゲート酸化膜を有するSiC MOSキャパシタの絶縁破壊電界における高エネルギー重イオンのLET依存性について明らかにすることができた。また、絶縁破壊電界のLET依存性以外にも、イオン入射位置と絶縁破壊電界領域との関係に関する成果も得られたため、当初の計画以上に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策についは、ターゲットとしている試料をsic MOSキャパシタからSiC MOS電界効果トランジスタ(FET)へと変更し、SiC MOSFETの絶縁破壊電界におけるLET依存性について明らかにする予定である。加えて、デバイスシミュレータ(TCAD)を用いて、SEGR発生機構に関するさらなる知見を得る予定である。研究を遂行する上での問題点として、現在使用しているSiC MOSFETのフォトマスクパターンでは、ゲート領域における面積が小さいためSEGR発生位置の特定が困難であるため、ゲート面積の大きいフォトマスクを設計し、使用することで対応しようと考えている。
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