2013 Fiscal Year Annual Research Report
高温適応キャパシタの応用を目指した歪み印加自然超格子誘電体材料の創生
Project/Area Number |
13J07901
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 純一 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高温領域適応キャパシタ / 誘電体材料 / 自然超格子構造 |
Research Abstract |
1. 自然超格子誘電体における最適組成の探索 Bi-0の蛍石構造とペロブスカイト構造で構成されたBi層状構造誘電体の中で比較的高い相転移温度を有する(Ca, Sr)Bi_4Ti_, O_15に注目して、(100)_cSrRuO_3/(100)SrTiO_3基板上に膜厚100nmのエピタキシャル薄膜を作製し、比誘電率、絶縁性、比誘電率の温度安定性の3つの側面で最適な組成を探索した。その結果、SrBi_4Ti_4O_15が最も高い比誘電率を示した。対して比誘電率の温度安定性と絶縁性に関しては、組成に依存せず4000℃まで-200ppm/℃という高い比誘電率の温度安定性と10^<-2>A/cm^<2>以下の高い絶縁性を示した。 Bi層状構造誘電体のほかにも、高温領域適応キャパシタ材料としてsi-0四面体構造とペロブスカイト構造で構成されたCaTiSiO_5基材料のセラミックを作製した。CaTiSiO_5におけるTi^<4+>サイトにZr^<4+>を置換することで比誘電率の変化率は室温から4000℃以上までの温度領域において約-100ppm/℃を示し、非常に高い比誘電率の温度安定性が実現した。また、絶縁特性において250℃まで10^<12>Ωcmという高い絶縁抵抗値を示し、こちらも優れた絶縁特性を得ることに成功した。 2. 自然超格子誘電体工ピタキシャル膜の作製と特性評価 1. において高い絶縁性と比誘電率の温度安定性を示す(Ca, Sr)Bi_4Ti_4O_<15>を用いて、(100)_cSrRuO_3/(100)SrTiO_3基板上に膜厚50~600nmのエピタキシャル膜を作製し、基板と薄膜間に発生する歪み量に対する誘電特性の関係を評価した。室温における比誘電率は歪み量に対して大きな依存性がないことを確認した。また、歪み量に対する比誘電率の温度変化量においては、歪み量の増加(膜厚の減少)に対して、比誘電率の温度変化量は-250ppM/℃から-100ppm/℃へと変化することが分かった。このことから、(Ca, Sr)Bi_4Ti_4O_<15>は薄膜層の膜厚を減少させることによって、高い比誘電率の温度安定性を実現することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、Bi層状構造誘電体における組成、歪みに対する誘電特性への影響を評価することで、目的の誘電特性を実現するための指標を得ることに成功した。またCaTiSiO_5基材料においては、組成制御を行うことによって、これまでの材料とは異なる新たな高温領域適応キャパシタの候補となりうることが分かった。以上のことから上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たな高温領域適応キャパシタ材料候補であるCaTiSiO_5において、比誘電率の向上と薄膜形態における誘電特性および絶縁特性の評価を行っていく。CaTiSiO_5は、誘電特性に方位依存が存在する可能性があり、比誘電率の向上には方位制御が必要であると考えられる。そのため、CaTiSiO_5の単結晶、もしくは成長方位の異なるエピタキシャル膜を作製することで誘電特性および絶縁特性の方位依存性を評価していく。その後CaTiSiO_5を基本組成として配向制御および組成制御による電気特性の向上を試みる。また、CaTiSiO_5基材料の薄膜化を行うことでキャパシタ層の膜厚に対する電気特性への影響を評価し、薄膜化による特性劣化の有無を定量的に理解する。
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