2013 Fiscal Year Annual Research Report
英語聴解力育成に向けた視覚情報活用に関する研究-文字情報の質的側面に焦点をあてて
Project/Area Number |
13J07914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細越 響子 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | EAP / EGAP / アカデミックリスニング / 視覚情報 / TBLT |
Research Abstract |
本研究は、「一般学術目的の英語(EGAP)」の聴解学習の際に補助的に使用する文字情報の提示言語や内容の質的な差異により、学習者の聴取理解に変化が見られるかを検証することを研究課題とする。平成25年度は、以下の3点を行った。 1. 使用素材の決定 : 調査において比較検証する文字情報提示内容の基準を決定するため、先行研究において使用された文字情報の内容、量、言語を調査した。また、語彙研究を参照し、EGAPの聴解に必要な語彙の特徴を分析した。さらに、聴取理解の程度を測定する言語テストの形式を検討し、EGAPの使用場面を鑑み、講義視聴と内容筆記再生からなる統合型タスクを課題として設定した。 2. 予備調査 : 46名の大学生を対象に1.で作成した統合型タスクを実施し、聴解のトップダウン処理を促すとされる構成提示群とボトムアップ処理を促すとされる低頻度語彙提示群を設定し、講義内容の再生率を比較検討した。その結果、講義の主情報の再生率について構成提示の優位性が明らかとなった。一方、低頻度語彙提示は、当該語彙への注意を引き付けるためか全体の理解を阻害する場合があることが分かった。加えて、先行研究ではこれまで議論されていなかった、提示語彙の情報的特質の差異が聴取理解に影響する可能性が今後の検討課題として得られた。これらの研究成果は、第5回Task-Based Language Teaching国際学会および第137回東アジァ英語教育研究会において発表した。 3. 本調査 : 75名の大学生を対象に2.と同様の統合型タスクを実施し、条件群に重要語彙提示群を追加し、講義内容保持への影響を比較検討した。設定条件ごとの講義内容再生における言語的特徴(のべ語数や異なり語数など)の分析は完了しているものの、意味的特徴(主情報、補助情報、追加情報の再生率など)の分析は平成26年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定であった、文字情報提示基準の設定、調査使用素材の決定、予備調査の実施、を終えることができた。加えて、来年度実施予定であった本調査の一部を既に実施することができた。一方で、類似する先行研究事例の調査を進めた結果、本調査の方向性が実施計画より一部変更となったため、来年度に完了できるよう計画を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を進める過程で、類似する先行研究事例やEGAPの聴解に関する文献を調査した結果、当初計画案で予定していた文字情報提示条件と言語テストの方式に変更が生じた。具体的には、EGAPの使用場面を反映した統合型タスクを調査課題として設定し、その遂行の程度を指標として文字情報使用の聴解学習への効果を検証することとした。来年度は、引き続き本調査の結果の分析を進め、研究成果をThe British Association for Applied Linguistics年次大会で口頭発表するとともに、学会誌に投稿する予定である。
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Research Products
(5 results)