2014 Fiscal Year Annual Research Report
生物進化と文化進化を統合する枠組みに基づく言語多様性への構成論的アプローチ
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13J07917
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東垣外 翔 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語進化 / 人工生命 / 共進化 / 個体ベースモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次のことを行った. 1) 脳・言語共進化説における文化進化と生物進化の速度差の問題に関して,進化速度が測定時間の刻み幅に依存することを鑑みた議論を可能な一般モデルの構築と実験,データ解析を進めた.具体的には,言語の生物・文化進化を1次元の形質として単純化することで速度差について定量的な議論を可能にするモデルを構築した.結果として,シミュレーションでは,確かに言語の進化スピードは細かいタイムスケールで観察した場合生物進化より早いが,長いタイムスケールで観察した場合,言語進化の非定向性によって,生物進化と歩調を合わせうる速度にまで観察されることが判明した. 2) 移動エントロピーを用いてそれぞれの進化が互いに及ぼす影響について測定時間間隔の概念を用いながら分析した.移動エントロピーは両者間の非対称な影響を定量的に測ることのできる指標である.1)によって得られた連続的データを測定時間間隔の概念を適用して一定間隔で離散化し,移動エントロピーを計算した.分析では,比較的測定間隔が小さい場合,両者の進化の互いの影響度合いに有意差が生じた.特に言語から生物進化への影響が小さいことが明らかとなった.測定間隔が小さい場合には言語進化のスピードが生物進化にくらべ速いように測定されるので,この場合,生物進化は言語進化に追い付くことが出来ないため,生物から言語への影響が強いように見える.しかし,測定間隔を長くするにしたがって,両者が互いに及ぼす移動エントロピーの差は明らかに縮まり,有意差が見られなくなった.これにより,両進化のスピードが揃うことで,両者が互いに及ぼす影響が同程度になることが判明し,脳・言語共進化説の妥当性が強まった.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)