2014 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の学習への深いアプローチを促す授業づくりのための実証的研究
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13J07952
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斎藤 有吾 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パフォーマンス評価 / アクティブラーニング / ルーブリック / 深い学習 / 高次の認知的能力 / 信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今日の大学教育で求められているような学生の深い学習を促すためには、授業実践場面においてどのような介入が考えられるのか。また、深い学習を促した結果、それが学習成果にどのような影響をあたえるのか、を実証的に明らかにし、大学教育に寄与することを最終的な目的としている。 本年度は、実証的な先行研究における、大学教育における学習成果の測定方法と、学習成果とその他の変数との関連のレビューや、専門領域によらない高次の認知的能力に関する学習成果(問題解決力、論理的思考力など)をパフォーマンス評価によって測定する際の信頼性に関連する実証的な検討や、測定した高次の認知能力に寄与する学習方略や学習動機・学習態度などを明らかにしてきた。 これらは、大学教育において近年活発に議論されている、学生の学習成果に関する直接評価から得られる情報と、学習プロセスや学習経験も含めた間接評価から得られる情報を統合し、その後の教育実践に資する情報を生産するという流れを組むものである。なお、直接評価とは学習成果を学生の知識や能力の表出(何ができるか)によって評価したものであり,間接評価とは学生の自己認識の報告(何ができると思っているか)によって間接的に評価するものである。また、個人記入式アンケートなどで学習プロセスや学習経験を評価する際にも使用される。そのような直接評価の情報と、学習プロセスを測定した間接評価の情報とを統合し、次の授業実践に資する情報を得ることを目指した研究の発表・論文執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深い学習を促すための実践とその評価方法に関して、評価の信頼性が担保されているかどうかを検討し、その直接評価の情報と、学習プロセスを測定した間接評価の情報との統合を目指した研究の発表・論文執筆を行い、予定通り確実に研究を進めつつある。それにより、今後の研究課題も明確になっており、それらの課題を克服することで、今日の大学教育に対する有用な知見が明らかになることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
論理的思考力、問題解決能力といった高次の認知的能力を、学生の自己評価で測定したり、GPAなどの指標で代替したりことに関しては、妥当性などの観点からさまざまな批判がなされている。これらの能力に関しては、当該能力の表出を促すような課題を作成し、それを学生にやってもらい、そのパフォーマンスを解釈することで、当該能力がどの程度身についているかを直接的に測定することが望ましいといえる。大学教育実践において、そのような高次の認知的能力を評価する際によく用いられるものとして、論述式課題があげられる。しかし、論述式課題の採点は、評定者の主観などの誤差が多く混入するため、その測定値の信頼性、妥当性の担保は一般的に困難となる。本年度の実証的な検討により、ルーブリックを使用したからといって複数評価者の信頼性は十分担保されているといえるほどのものを得ることは困難であることが明らかにした。 一般に、測定の信頼性に疑義が生じれば妥当性にも疑義が生じるため、本研究の目的からしても、信頼性があまり担保されていると言えない状態は好ましいものではない。その際、ルーブリックの評価観点を増やしたり、評価者数を増やしたりして、その平均値をとることによって測定の信頼性は理論的には向上するが、それでは実践の場における実行可能性を著しく低下させてしまう。 そこで今後は、論述式課題による高次の認知的能力の測定の信頼性を向上させるような評価の枠組みの開発を行うことを目標とする。それを用いて、大学生の高次の認知的能力を直接的に測定し、またそれに寄与する学習プロセスはどのようなものなのかを実証的に検討することを目標とする。
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Research Products
(4 results)