2013 Fiscal Year Annual Research Report
ファシズム政権下のイタリアにおけるアメリカ文化の受容と影響
Project/Area Number |
13J07961
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小久保 真理江 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | イタリア文学 / アメリカ文学 / モダニズム / 20世紀 / 比較文学 / 翻訳 / 文化変容 / 大衆文化 |
Research Abstract |
今年度、2013年4月から2014年1月半ばまでの期間は、イタリアのボローニャ大学にて、資料調査やテクスト分析の作業を中心に研究を進めた。特に1920年代から1930年代のイタリアにおけるアメリカ文学の翻訳をめぐる状況に焦点を当てて調査し、近年の関連研究の成果を整理すると共に、様々な一次資料の分析も行った。更に、当時のイタリアにおけるアメリカ文学受容の特徴を新たな角度から分析するため、同時代の日本における状況との比較も行い、その類似点や相違点について歴史的・文化的背景と関連付けながら分析した。また、今年度は、当時のイタリアにおけるアメリカ文学の普及に非常に重要な役割を果たした作家・翻訳家であるチェーザレ・パヴェーゼについて、従来とは異なる角度から、個別的な分析も試みた。具体的には、パヴェーゼの詩とホイットマンの詩との類似性について、「身体性」に焦点を当てながら検証した。更に、ホイットマンはパヴェーゼにとってアメリカンモダニズムの先駆者としての重要性を持っていたという可能性についても「身体性」の問題と関連づける形で検討した。2014年1月半ばには、日本に帰国し、受入研究機関である東京大学にて研究活動を再開した。帰国後はイタリアと日本におけるアメリカ文学の受容について、特にシャーウッド・アンダーソンに焦点を当てた資料調査と分析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、主にボローニャ大学で研究を進めることにより、イタリアにおける関連研究の成果を吸収すると共に、重要な資料を分析することができた。また、当初の計画通り、ファシズム政権下のイタリアにおけるアメリカ文学の受容状況を同時代の日本の状況と比較することにより、研究テーマにっいて新たな角度から考察することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に得た知見や分析結果を基盤に、今後は個別の作家に焦点を当てた分析を進めていく。また、イタリアにおけるアメリカ文学受容の特徴にっいてより広い視野から考察するため、フランスやドイツ、ロシアなど、同時代の他国におけるアメリカ文学の受容についても調査を行う。その上で、当時のアメリカ文化とイタリアの作家との関係について「モダニズム」という概念を鍵に検証する。
|
Research Products
(2 results)