2014 Fiscal Year Annual Research Report
偶蹄類フェロモン分子群の同定と受容メカニズムの解明
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13J07968
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 健 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フェロモン / V1R / 偶蹄類 / cAMP |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物において、7回膜貫通型タンパク質である鋤鼻1型受容体(vomeronasal receptor; V1R)は遺伝子ファミリーを形成しており、フェロモンの受容に関与すると考えられている。従って、様々な動物種のV1Rのリガンド分子の同定は、それぞれの動物種のフェロモンの同定につながることが予想さる。本研究ではV1Rを培養細胞に機能発現させたアッセイ系を用いることで、産業的に重要なウシ、ヤギ、ヒツジなどの偶蹄類をはじめ、様々な種のV1Rのリガンド探索を行う。 当該年度は、cAMPの検出系を利用したアッセイ方法を確立した。V1Rが抑制性のGタンパク質(Gi)にカップリングすることが推定されることから、cAMP上昇を抑制する効果を検出する系によりV1Rのリガンド応答を検出できると考えた。HEK293細胞にV1Rf3を発現させ、エストロゲン硫酸塩を添加し、その後フォルスコリンを添加した際のcAMPの産生を調べたところ、エストロゲン硫酸塩の濃度依存的に、cAMP上昇の抑制が認められた。この系は、昨年度に確立したカルシウムイメージングの系よりも高感度かつハイスループットであり、今後様々なV1Rのリガンド探索に利用することができると考えられる。 様々な種のV1RをHEK293細胞に発現させて細胞膜への移行を調べたところ、マーモセットで6種中1種、ヒトで5種中0種、ヤギで22種中6種、マウスで8種中1種のV1Rが効率的に膜移行することが認められている。マウスにおいて効率的に膜移行したV1Rf3はカルシウムイメージングとcAMPアッセイのどちらでも応答が認められたため、上記のうち膜移行したV1Rは機能解析が可能だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにカルシウムイメージングとcAMP検出系を用いたV1Rのアッセイ系の確立と、種々の哺乳類のV1Rのクローニングと膜移行の評価が行われている。次年度にそれぞれの動物の尿などからV1Rリガンド分子群の同定に向けて準備が進んでいることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにクローニングしたV1Rに加え、偶蹄類のヤギ、ウシではゲノム上のすべてのV1Rをクローニングする。そして、カルシウムイメージングまたはcAMP検出系を用いることで、それぞれの動物において、尿や皮脂中のV1Rリガンド分子群を同定する。
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Research Products
(2 results)