2013 Fiscal Year Annual Research Report
分位点回帰モデルにおけるモデル選択規準に関する研究
Project/Area Number |
13J07978
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高梨 耕作 慶應義塾大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モデル選択 / 分位点回帰 |
Research Abstract |
計量経済モデルが正確に特定化されていることは非常にまれであり、スペシフィケーション・エラーを含むのが通常である。モデル選択規準には、我々の推定するすべてのモデルが誤っている状況においても、最も良いモデルを選択できることが要求される。本研究では、分位点回帰モデルにおける新たなモデル選択規準を導出し、漸近最適性を示すことが目標である。この2点について研究を行った。 モデル選択規準について。 本研究では、回帰係数の推定のために、Least Absolute Deviation (LAD)を用いる。LAD推定量に対応するモデル選択規準を求めたいのであるが、非常に困難な点が2つあることが分かった。1つに、推定量が非線形であり、バイアス修正項が近似的にしか求まらないこと。2つに、これが最も深刻なのであるが、統計的損失関数に2乗誤差が使えないことである。LAD推定量に対応する統計的損失関数は、ウェイト付き2乗誤差となる。モデル選択規準のためには、このウェイトも求めなくてはならない。 漸近最適性について。 ウェイト付き2乗誤差を用いると、損失関数を推定量の部分とその他の部分とに、分割できなくなる。さらに、ウェイトを推定量に置き換えると、置き換えた際の誤差も評価しなくてはならない。この誤差の評価を行ったところ、Li(1987)の意味での漸近最適性は求まらないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に対して、否定的結果が得られたため、研究の戦略を変える必要があると、考えられる。幸い、推定の目的関数を、Mosco収束というトポロジーで収束させることが出来れば、最適性は達成できることが分かった。そのための数学の理解に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Liの漸近最適性は、収束の最適レートをもいっぺんに示してしまうものであった。本研究は良いモデルを選ぶことが最終目標であるから、収束レートまでも欲張る必要はないと考える。そこで、研究の方針として、次のように行うこととした。 回帰係数が無限次元の下で、推定の目的関数LADのMoscoトポロジーでの収束を示す。パラメタの次元が最初から無限次元なのは、モデルセットをも含んだ空間を考え、その空間での最適を論ずるためである。Moscoトポロジーでの収束は、目的関数の最小値の収束を保証してくれる。通常、推定量の一致性の証明には、一様ノルムでの収束をいうのだが、パラメタ空間でのコンパクト性が要る。無限次元空間はコンパクトでないから、一様収束を求めることはできないのである。 無限次元パラメタの推定は、有限標本のもとでは、オーバーフィッティングしてしまう。そこで、オーバーフィッティングの解消と、モデル選択の両方を狙い、正則化法を用いることにする。モデル選択を正則化で行い、正則化した目的関数のMosco収束を示し、漸近最適性をいう方策である。
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Research Products
(1 results)