2013 Fiscal Year Annual Research Report
電界誘起光第2次高調波発生を用いた有機EL素子のキャリヤ挙動の測定と解析
Project/Area Number |
13J08014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
貞方 敦雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機EL / 軸対称偏光顕微電界誘起光第二次高調波発生測定法 / 電界分布および界面蓄積電荷分布の可視化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、縦型素子である有機EL素子のEL発光に至るキャリヤ挙動に関して、計測技術が確立されていないため実態を明らかにすることは困難であり、まだ十分に議論がなされていない点であるEL発光面内方向での電界分布や界面蓄積電荷分布、EL発光強度分布について電界誘起光第二次高調波発生測定法を用いて評価を行うことである。 平成25年度の研究計画は、「有機EL素子のEL発光面内方向の電界分布と界面蓄積電量分布を評価可能な新たな計測技術の確立」である。はじめに、二層積層有機EL素子(IZO/α-NPD (150nm)/A1q_3 (50nm)/A1)のα-NPD層の膜厚方向の電界を評価可能とするために新たな軸対称偏光パルスレーザーによる顕微電界誘起光第二次高調波発生測定システムの構築を行った。そして、新たな測定系を用いて、有機膜厚方向の電界を評価可能か検証するために単層有機EL素子としてIZO/α-NPD (200nm)/A1を用いて実験を行った。実際に、外部電圧に対してα-NPD層から生じるSH光強度を測定した結果から新たに構築した軸対称偏光パルスレーザーによる顕微電界誘起光第二次高調波発生測定システムによって有機膜厚方向の電界を評価可能なことを実証した。次に、二層積層有機EL素子のEL発光に至る面内方向でのキャリヤ挙動を明らかにするために、発光面内の一軸方向でのα-NPD層に生じる電界分布およびαNPD/A1q_3界面に形成される界面蓄積電荷量分布を評価した。また、EL発光強度分布を測定した。そして、EL発光面内でのEL発光に至るキャリヤ挙動についてMaxwell-Wagner効果による界面電荷形成モデルに基づき考察した。その結果、二層有機EL素子のEL発光面内の一軸方向での界面蓄積電荷量分布とEL発光強度分布に相関性が有り、正孔による界面蓄積電荷が多い個所でEL発光強度が強くなることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画として、「有機EL、素子のEL発光面内方向の電界分布と界面蓄積電量分布を評価可能な新たな計測技術の確立」を掲げていた。結果として、有機EL素子のEL発光面内の一軸方向での電界分布と界面蓄積電荷量分布について評価可能な計測技術の確立には成功した。しかし、発光面内方向(二次元)での電界分布と界面電荷分布に関してはまだ評価出来ていない点があることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、有機肌素子の発光面内方向の電界分布および界面蓄積電荷分布とEL発光強度分布の評価に関して軸対称偏光パルスレーザーによる顕微電界誘起光第二次高調波発生測定システムを用いて研究を進める。そして、有機EL素子の輝度劣化現象に関して、EL発光面内方向での局所的な高電界部や過剰な界面蓄積電荷が形成されている個所に注目し、それらが引き起こす輝度劣化および絶縁破壊現象に至るキャリヤ挙動について研究を行う。
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Research Products
(4 results)