2015 Fiscal Year Annual Research Report
線虫をモデルとした個体間相互作用が行動を制御する分子機構の解明
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13J08052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 純一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | C. elegans / 嗅覚可塑性 / small G protein |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動物の学習・記憶・判断に影響を与える種々の環境情報を伝達する修飾経路を明らかにすることを目標とした。そこで、あえて、弱く不安的な学習行動であると思われる、5分間という短い条件付けによって引き起こされる線虫C. elegansの嗅覚可塑性に注目した。この不安定な嗅覚可塑性は個体群密度に依存することが、先行研究により報告されている。昨年度までに、この不安定な嗅覚可塑性について異常を示す変異体として、低分子量Gタンパク質Rapを負に制御するGTPase Activating Protein(GAP)と予想されるsipa-1の変異体を同定した。 sipa-1は、頭部・尾部・腹神経索の数多くの神経細胞、体壁筋や咽頭などに発現が確認された。そこで、それぞれの組織に特異的に野生型sipa-1のcDNAを発現させ、sipa-1変異体の嗅覚可塑性異常を回復できるかどうかを調べた。その結果、多数の神経細胞に発現を誘導するプロモーターを用いた場合のみsipa-1変異体の異常を回復することができた。これはsipa-1の神経細胞での機能が嗅覚可塑性を制御することを示唆する。 哺乳類ではsipa-1はRapを負に制御するGAPであることが報告されている。C. elegansのRap-1は哺乳類のRapと高い相同性を持つ。そこで、恒常活性化型と予想されるrap-1(G12V)を野生型に導入したところ、sipa-1プロモーター、またはH20プロモーター(全神経)による発現で、sipa-1変異体と同程度の嗅覚可塑性異常を再現することができた。この結果は、神経細胞における適切な強度のRapシグナリングが嗅覚可塑性において重要であることを示唆し、またrap-1がsipa-1のターゲットであることに矛盾しない。今後は生化学的な実験によりsipa-1とrap-1の直接的な相互作用を示すべきであろう。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)