2014 Fiscal Year Annual Research Report
モダリティに依存しない表象の形成に関する認知心理学的・神経科学的研究
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13J08058
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 和哉 関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロスモーダル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,視覚と触覚の共通表象の存在及びその形成過程を明らかにすることを目的とした。平成25年度に引き続き,時間表象の視触覚共通性に関する検討を中心に行なった。始めに研究1では,振動刺激が視覚刺激の時間知覚に与える影響を検討した。研究の結果,振動周波数が高くなるほど,視覚刺激の時間が長く知覚されることが示され,視覚と触覚のモダリティ間で共通の時間表象が存在することが示唆された。次に研究2では,視覚刺激のフリッカー周波数(点滅の周波数)が振動刺激の時間知覚に及ぼす影響を検討した。研究1と比べて効果は弱いものの,視覚刺激のフリッカー周波数が高くなるほど,振動刺激の時間が長く知覚されることを示す結果が得られた。したがって,研究1及び研究2の結果から,視覚と触覚で共通の時間表象が形成されていることを示唆する結果が得られた。 研究3では,感覚モダリティ共通の時間表象が形成されるために,視覚刺激と触覚刺激の空間一致性が重要な役割を果たしているかを検討した。この目的のため,振動装置を付けた指を視覚刺激と同じ位置に置く条件と異なる位置に置く条件を設定した。実験の結果,振動刺激が視覚刺激と同じ位置に提示される条件において,振動周波数による視覚刺激への影響が大きかった。このことから,空間とは無関連な時間情報の場合であっても,モダリティ共通の表象は空間位置に基づいて符号化されている可能性が示された。平成27年度の研究では,これらの知見を基に,形態表象の検討を中心に進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成目標は,視覚触覚間のモダリティ共通表象の存在を示すこと及びその形成に重要な要因を明らかにすることであった。上記二点も概ね達成されたため,十分な研究成果があげられたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度と同様に実験補助員を雇用し,順調に実験結果を積み重ねることを予定している。また,まとまった研究成果が得られてきたため,研究の成果のアウトプットにも力を入れる予定である。
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