2013 Fiscal Year Annual Research Report
ジベレリンシグナルの化学的利用を目指した技術基盤の開発
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13J08101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 征史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 阻害剤 / 生合成 / 代謝 / 植物ホルモン / ジベレリン |
Research Abstract |
GA 2-oxidaseのタンパク質X線結晶構造解析に向けて、大量発現系の条件検討から構築、発現、精製方法、結晶化方法のスクリーニングまで計画通りに行った。GA 2-oxidaseは沈殿を生じやすかったが、精製方法を確立することに成功した。さらに結晶化方法のスクリーニングを行っていたが、現在まででは結晶化条件を発見するには至っていない状況である。今後CBTC、M14を添加した状態でGA 2-oxidaseの結晶化条件を探る予定である。 構造展開によってCBTCはGA 2-oxidaseに対する特異性を失い、タンパク質の構造が似ているジベレリン化合成酵素のGA 3-oxidaseに対しても効果を持つものが得られた。GA 2-oxidaseに対して特異性を有しながら効果が強くなったような化合物は得られていないが、構造の少しの変化でGA 3-oxidaseに対して阻害効果を有して代謝酵素阻害剤から生合成阻害剤へと性状が変化した点は新規の知見である。 有機合成の手法を用いて67Dの構造的類似化合物を13種調製してそれらの効力を検討したところ、フェニルアラニン由来構造をL-イソロイシンに置換した67D-Iがより強いGA様の活性を示すことが明らかになった。 ジベレリンアゴニストとして探索した67Dは受容体との結合活性やジベレリン応答性遺伝子の変動、ジベレリン生合成欠損変異体の発芽、プルダウンアッセイにおけるGID1とDELLAの結合誘導実験などにおいてジベレリンと同様の効果を示した。これらの結果は、67Dが受容体に対するGAアゴニストであることを強く示唆する。またジペレリン様の活性を有していることが古くから知られていたが詳細な作用機構が判明していなかったAC94377に関しても67Dと同時にジベレリンアゴニストとしての検討に加えることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジベレリンのシグナルを制御する化合物を数種類発見したことに加えて、それらの詳細な作用機構をあきらかにしつつあること。また、未だ論文化にまでは至っていないもののあと少しの進展で論文化できる位置まできていることから。
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Strategy for Future Research Activity |
GA2-oxidaseの結晶化条件のスクリーニングなどはこのまま継続して行うことで、目的を達成できると考えられる。さらに、有機合成による構造展開から、特異的な代謝酵素GA2-oxidase阻害能を有していた化合物の類縁体がGA2-oxidaseと類似した構造を持つジベレリン生合成酵素GA3-oxidaseにも阻害効果を有するものが含まれていたという新たな知見から、詳細な作用部位などの情報が非常に興味深いので、GA3-oxidaseの結晶化も視野に入れて検討したい。さらにジベレリンアゴニストであるという仮説に立ち検討を行っている67DとAC94377に関しては、ジベレリンアゴニストであるということが強くしさされる結果が出ているのでそれらについて詰めていく。
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Research Products
(3 results)