2013 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体のミクロ相分離構造の光配向と動的機能の創出
Project/Area Number |
13J08132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 誠実 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 動的光配向 / アゾベンゼン / ブロック共重合体 / 液晶ポリマー / キラル液晶 / 階層構造制御 / 配向 / 斜入射X線散乱測定 |
Research Abstract |
1. 研究の目的 : 本研究は、より高次なミクロ相分離構造の配向手法の確立による、高分子ナノ材料のあらたな動的機能の創出を目的とする。これは、これまで静的テンプレートへの応用に特化して研究されていたミクロ相分離構造について、高分子の柔らかさ、動きやすさというソフトマターとしての性質を用いようという、まったく新しい試みによる研究である。 2. 当該年度に実施した研究成果の具体的内容 : 本年度は、高次配向手法の確立を目指し、ミクロ相分離構造の配向方向を二方向に制御することを試みた。より具体的には、(1)液晶カイラル剤のドープによる光応答性液晶ブロック共重合体の光配向方向の一方向制御、(2)キラル部位を持つブロック共重合体によるアクティブ光配向の一方向回転制御の2つの研究を行った。(1)では、低分子液晶の配向方向を一方向に誘起する液晶カイラル剤の種類、ドープ量ならびに温度条件の検討により、光応答性液晶ブロック共重合体中のアゾベンゼンが、その光配向方向を右方向ならびに左方向に誘起されることを見出した。これは、ミクロ相分離構造も配向を保ったまま一方向にその配向方向を回転させていることを示唆している。そこで(2)によって、ミクロ相参離構造の醇向制御に方向という高次の挙動を付与した高次な動的配向制御の創出を行った。 3. 意義 : 高次な動的構造制御は、生体を模写した、さらには、生体を超える精密なナノ構造構築と動的制御が可能であり、ナノ粒子材料を含めた新たな動的機能創出ならびに高機能な高分子ナノ材料の創出に大きく貢献するものと考えられる。 4. 重要性 : 本研究にある回転制御が達成できれば、分子→液晶→ミクロ相分離→マクロな動的な階層構造の構築、さらには、ナノ粒子材料の新たな応用の可能性も含めた新規光メカニカル機能を創出できる。ナノ材料の回転運動は、ナノモーターとも考えることができ、高分子科学、光化学、材料化学分野へのインパクトは大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である、高次配向手法の確立については、(1)低分子ドープ法ならびに(2)キラルポリマー重合法どちらにおいても、アクティブ光配向の一方向回転制御が可能であることを見出した。(2)については、外部測定機関(Photon Factory)の測定時間の割り振りにより、本年度中の達成が困難であった。次年度初めに測定可能であることが確定しているため、当初の計画からの大幅な遅れではないとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は以下の2点、(1)斜入射X線散乱測定によるミクロ相分離構造の配向方向の一方向回転の観察、(2)ナノ粒子材料とのハイブリット化による新規動的材料の創出である。第1年度にて検討した高分子集合体の高次階層構造制御にっいて、その挙動を解明する(1)。また、ナノ粒子材料を包摂したまま光配向制御を行い、アクティブ光配向の新規な動的機能の創出を図る(2)。ナノ粒子材料に由来する薄膜の光学特性から、アクティブ光配向におけるミクロ相分離構造の挙動解明を目指すとともに、さらなる複合ナノ材料の機能を探求する。
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Research Products
(11 results)