2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁気浮上モータの受動安定性の解明と薄型補助人工心臓への応用
Project/Area Number |
13J08185
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
村上 倫子 茨城大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気浮上 / 受動安定特性 / 補助人工心臓 / セルフベアリングモータ |
Research Abstract |
磁気浮上型補助人工心臓の小型化のためには受動安定を利用した磁気浮上系の制御軸数の削減が有効である. しかし, 受動安定は剛性が低く, 磁気浮上系全体の不安定化の原因となるが, 受動安定特性は明確になっていない. 本研究は受動安定特性を明らかにし, 薄型磁気浮上補助人工心臓への応用を図ることを目的としている. 今年度は, 浮上インペラにかかる磁気吸引力と流体力を同時に検証可能なダイナミックシミュレーションを構築し, 受動安定特性の検証を行うための受動安定特性のモデル化に関する検討と, 薄型補助人工心臓の高度化に関する検討を行った. 受動安定特性のモデル化に関する検討として, 磁場解析により, 受動安定特性を生じる要因がロータ上下エッジ部の磁束密度のバランスであること, ロータが傾いた時の復元トルクはロータの軸方向変位により影響を受け, 径方向2軸の+側と―側で発生する力が異なることが推定された. 今後, 運動方程式を用いたダイナミックシミュレーションを行う予定である. 薄型補助人工心臓の高度化に関する検討として, デバイスの溶血量を減少させるための検討を行った. 流体解析の結果, 溶血が示唆される高壁面せん断応力の領域がポンプケーシングのエッジ部で確認された. そのエッジを丸めることで, 約50%, 高壁面せん断応力の領域を削減可能であることが推定された. 今後, 新たなポンプを製作し, 溶血試験を行う予定である. 以上の結果を学会で発表し, ISRBP ASIAN PACIFIC YOUNG INVESTIGATOR AWARDとMAGDA優秀講演論文賞を受賞した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来期に予定していた溶血試験のための検討を今期に行い, 受動安定に関する実験を来期に行うこととしたが, 全体として大きな遅れはない.
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Strategy for Future Research Activity |
実験は, 浮上インペラ周囲の動的な磁束密度測定とポンプ内の圧力分布測定を行う. その実験結果を解析の裏付けとしてシミュレーションパラメータを決定し, 運動方程式を用いたダイナミックシミュレーションを行う. その結果を用いて磁気浮上モータを設計・製作し, 磁気浮上ポンプに組み込むみ, 最終的にダイナミックシミュレーションの評価を行う予定である.
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