2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ空間でのTip-streamingを利用したポリ乳酸複合ナノ材料の開発
Project/Area Number |
13J08186
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 貴一 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | flow-focusing / Oil-in-Water emulsion / tip-streaming / Taylor-cone / simulation / sub-micron / emulsification / polylactide |
Research Abstract |
本研究は, Flow-focusing型マイクロ流路において形成されるTip-streamingと呼ばれる特異な流れの形成条件を明らかにするとともに, Tip-streaming先端で生じる微細液滴をテンプレートとした生分解性高分子ナノ材料連続調製プロセスの開発を目的としている。本年度はまず, 汎用シミュレーションソフト(COMSOL Multiphysics)を用いた流体解析シミュレーションにより, Tip-strearningを形成する上で重要な油水界面におけるTaylor-cone形成条件の模索および流路形状・流体条件の最適化を検討した。その結果, 分散相と連続相の接触角度90°のFlow-focusing型流路における水中油滴型(0/Wエマルション)調製にて, 2流体の流量, 粘性および2流体間の界面張力を制御することで, Tip-streamingの形成に成功した。各操作パラメーターを総括的に整理すると, 粘性と界面張力の比を表す無次元数であるキャピラリー(Ca)数が大きいとTaylor-cone形成に有利であることが示唆された。シミュレーション結果を基に設計したマイクロ流路(Flow-fbcusing部30㎛)とエマルション条件を用いて, ポリ乳酸微粒子調製を行った。その結果, マイクロ流路内で形成されたTip-streaming先端でおよそ4㎛程度の液滴生成がデジタルマイクロスコープにより観察された。この結果は, シミュレーション結果と一致した。続いて, 調製した微細なエマルションを多量の水に加えて, 油相溶媒を水中に拡散除去することにより, 粒径800㎚のPLA微粒子を得た。Tip-streamingを用いたマイクロ流路乳化プロセスでは, 従来法では困難であったシングルミクロンの微細液滴生成が可能であり, さらにこの技術と溶媒拡散法を併用することで, サブミクロンサイズの液滴・高分子微粒子を連続調製することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に, マイクロ流路内でのTip-streaming形成条件に関する検討に注力し, 研究計画におおむね則した進展をみた。マイクロ流路内のCa数に着目し, それに起因するファクターを制御することで, Tip-streamingの形成に成功した。流体シミュレーションで得られたエマルション調製条件を実験系に適応した結果, シミュレーションと同様の現象が見られ, シングルミクロンの微細液滴を得た。得られた微細液滴から溶媒拡散により, 溶媒を除去し, 体積収縮を起こすことで, 最終的にサブミクロンサイズのポリ乳酸微粒子を得ることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度, Tip-streamingの形成に必要なTaylor-coneの形成に優位な条件を示すことができたが, Taylor-coneの安定性にはまだ課題がある。今後の方策のひとつとして, より安定なTaylor-coneを形成するために, 更なるデバイスの改良と操作因子の検討を行う。また, これまでに所属研究室で得られている知見を応用し, 合成した両親媒性共重合体, 無機ナノ微粒子や高分子の貧溶媒を微粒子のマトリックスまたは相分離剤として添加し, ナノサイズの機能性微粒子の創製とその構造制御法の開発を目指す。その機能性・構造をDSCによる熱分析, SEM, TEM, AFMによる形態観察などにより評価する。
|
Research Products
(10 results)