2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芳賀 大地 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 林家 / 林業 / 情報 / 補助金 / 北関東 |
Research Abstract |
本研究の目的は、林家の持つ情報に着目し、現在政策上課題になっている伐採行動について①林家の林政情報の獲得過程及び②林家の市場情報の獲得過程の2点を解明することである。 情報の伝達に関して森林組合が大きな役割を果たしていると考えられるため、森林組合の加入率の高い地域(鹿沼市旧粟野町)を中心に、今年度の調査を行った。 ①の課題については、栃木県庁に対して調査を行うことを予定したが、十分な調査協力を得ることができなかった。そのため、全国的な林政情報、特に造林補助金の伝達に関する調査を行った。その結果、全国的に見て、造林補助金の業務は各出先機関において1名の担当者が担っていることが多く、また多くの都道府県において情報伝達が市町村や森林組合の各自の判断にゆだねられていることが判明した。今後は、各都道府県における情報伝達の過程の違いのより詳細な分析、及びそれらの情報伝達過程を形成している条件や要因の解明を進めていくことが課題である。 ②の課題については、次の点が現在までに示唆されている。 1、旧粟野町やその周辺における比較的大規模な林業事業体は、森林組合を含めて、特別な営業行動を行わなくても事業量を十分に確保できている。 2、森林組合や素材生産業などの事業体は、一度受託した林地の境界確認を起点として周辺の林地に事業地を拡大していっている。 3、林家の多くは森林や林業への関心が低く、補助金も含めて、間伐による実際の収益を、事前には把握していない。 4、事業の受委託は、個人の繋がりや信頼関係の影響が非常に大きい。 今後は林家側の認識についてより詳細に明らかにすることが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妻が妊娠したため、体調を崩すことが多くあり、その対応によって調査準備が進まない時期があった。 また、栃木県庁など、いくつかの主体に調査の協力を依頼していたが、調査協力を得ることができず、研究計画を見直す必要があった。その他の点については概ね当初の予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は旧粟野町以外の地域で、これまでと同様に森林組合や素材生産業者に対する調査を進めるとともに、林家の意識に関する調査を実行する。調査対象地域は茂木町、及び那須町などを予定している。当初の計画通りに調査協力を得られなかった主体にかかわる部分に関しては、他主体への調査の深化、新たな調査対象の発掘などによって対応する。
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