2014 Fiscal Year Annual Research Report
数値シミュレーションと室内実験の融合から探る断層帯における不均質構造の成長
Project/Area Number |
13J08220
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉光 奈奈 東京大学, 情報学環, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 波動伝播シミュレーション / 差分法(FDM) / 岩石実験 / 透過波 / 不均質構造 / 反射波 / 変換波 |
Outline of Annual Research Achievements |
地殻内の不均質性と,そこを透過した地震波形の関係性を,地震学的パラメタで評価することができれば,断層成長に伴う構造変化を波形から推定することができるかもしれない.そこで,媒質の物性を実測できる実験室で得た透過波形と数値計算波形との比較を行うことを考えた.その第一歩として,岩石試料を透過した波の各位相の起源を把握するために,昨年度は実測波形の取得と2次元での波動伝播シミュレーションコードを作成した. 今年度は,実測波形の取得の継続と,コードの3次元への拡張を行った.昨年度の2次元シミュレーションより試料内の波動場の複雑性が明らかになったことから,不確定要素を減らすために,より単純な均質媒質を用いて比較を行った.実測波形取得のために,直径50mm,高さ100mmの円柱形のステンレス試料を作成し,その側面の一部を幅10mm,高さ100mmの短冊状に平面加工した.平面部の中心,高さ50mmの位置に圧電素子を貼付して,電圧を矩形入力し,試料側面上でレーザードップラー振動計を用いて速度波形を記録した. また,昨年度開発した2次元コードを発展させ,3次元の波動伝播シミュレーションコードを作成した.試料に相当する円柱領域を含む解析領域を,円柱軸に対して垂直な二辺は54マイクロメートル,円柱軸に平行な方向は60マイクロメートルの格子間隔で離散化した.試料表面の鉛直方向中心にあたる位置にシングルフォースの力源を置いて震源とし,シミュレーションを実施した.計算の結果得られた速度波形を実測波形と比較したところ,震源形状を簡略化した点震源ではなく,実験を忠実に再現した面震源を用いることで,より正しく波形が再現されることが確認された.また,実験波形と計算波形は200-400kHzの低周波数帯で特によい一致を見せた.400-1600kHzという比較的高周波数帯でも,波形の山谷や大振幅の位置はよく合っていた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り波動伝播シミュレーションのためのコードの作成と改良が進み,3次元でのシミュレーションが実施可能になった.正確な波形比較を目指して,均質媒質を用いた実験とシミュレーションを行ったが,その結果は良好であり,次年度につながる成果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
3次元の波動伝播シミュレーションコードの作成と均質媒質でのシミュレーションが完了したため,今後は改めて岩石試料における波動伝播シミュレーションを行い,実測波形との比較を実施する.
|
Research Products
(5 results)