2013 Fiscal Year Annual Research Report
航空機レーザー計測と数値シミュレーションを統合した都市街区の熱環境可視化手法
Project/Area Number |
13J08265
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
押尾 晴樹 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 航空機LiDAR / 都市緑化 / 葉面積密度 / 放射伝達シミュレーション / レーザー計測 / 熱環境 / 日射遮蔽 / 蒸散 |
Research Abstract |
本研究は、熱環境に配慮した街づくりのために、航空機レーザー計測と数値シミュレーションを用いて都市街区の建物や樹木の形状、材料分布を0.5mスケールで再現し、表面温度分布を可視化する手法の開発を目的としている。当該年度は、レーザーが樹冠を透過する確率を用いた日射遮蔽効果の予測方法やレーザー反射強度を用いた都市表面の日射反射率の推定方法を検討する計画であった。しかしながら、以下の理由から、樹冠の葉面積密度(LAD)分布を推定してそれを用いて樹木の効果を評価する方法をとることとし、当該年度は航空機レーザー計測によるLAD分布の推定手法について重点的に研究を行なった。・直達、天空、反射日射のように様々な方向から樹冠に入射する放射を考えるため、・将来的にCFD (Computational Fluid Dynamics)シミュレーションなどに応用する際に樹木の入力データとできるため。また、樹木の効果を議論するためには蒸散作用も重要であると考え、熱環境緩和効果の評価項目を日射遮蔽効果と蒸散作用とした。具体的な成果は以下の通りである。 1. LAD分布の推定手法 LAD分布の推定において主要な情報となるレーザーと葉の接触確率について、樹冠内部への一つの入射パルスに対する複数の反射パルスの情報を利用して高精度に接触確率を算出する手法を提案した。地上レーザー計測を用いることで推定精度の検証を行い、提案手法により既往研究の手法に比べて高精度にLAD分布を推定できることを明らかにした。 2. 樹木の熱環境緩和効果の評価への応用 推定したLAD分布を植生放射伝達シミュレーションに適用し、樹冠を透過する日射量分布の予測結果を実測結果と比較し、太陽高度に応じた熱環境緩和効果の予測が可能であることを明らかにした。また、実在街区における街路樹を対象とした日射透過量と蒸散量の空間分布を予測し、樹木の配置、葉面積密度の違い、および周辺建物の影響を考盧して熱環境緩和効果を定量的に評価できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目のうち樹木に焦点をあてて研究を行なった。しかしながら、葉面積密度分布の推定手法の提案と精度検証、推定した葉面積密度分布の熱環境緩和効果(日射遮蔽と当初計画にはなかった蒸散作用)の評価への応用を行なうことができた。これらは、リモートセンシングの分野においても大きな研究テーマであり、2年間で樹木を対象に行なう予定であった研究内容以上の進展があったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
航空機からのレーザーの反射強度と地上実測により取得した地表面や壁面の分光反射率の比較により、距離や入射角が反射強度に及ぼす影響の補正方法や日射反射率の推定について検討する。また、学会や学内での発表を通して、航空機レーザー計測を使用する側はコストに関する関心が大きい傾向があった。そこで、本研究の手法を一般化するためには、近年航空測量会社などにより整備が進んでいる航空機レーザー計測データベースの使用が有効であると考えられる。このようなデータと本年度得られた成果を比較・分析し、既存のデータの活用可能性を明らかにすることも優先して行なってゆく。
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Research Products
(5 results)