2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬本 貴之 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 接着 / 炭素繊維 / エポキシ樹脂 / 密度汎関数法 / 水素結合 |
Research Abstract |
炭素繊維/エポキシ樹脂界面における接着機構に関する理論的研究を行った。具体的には量子化学計算を用いて炭素繊維/エポキシ樹脂接着界面での化学反応や分子間相互作用を解析し、接着による安定化のエネルギーや接着強度を理論的に評価した。計算には量子化学計算プログラムパッケージのCASTEPを用いた。表面を周期系として取り扱った。接着界面のモデルを行うために炭素繊維の表面モデルの構築を行った。グラファイトの(110)面を切り出し、表面にヒドロキシル基やカルボキシル基などの官能基を導入して現実的なモデルを構築した。表面は周期系として取り扱った。この表面モデルを用いた理論計算により、炭素繊維とエポキシ樹脂との接着界面の構造最適化を行った。最適化構造を元に、接着界面での結合エネルギーや接着仕事を求めた。さらに、界面破壊のシミュレーションを行うことにより、接着強度を理論的に評価した。計算の結果、この系の接着が、表面に存在する酸素原子を含む官能基を介した水素結合に支配されるということを明らかにした。また、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基などのそれぞれの官能基の役割や、界面での結合の形態を明確にした。この研究により、今まで未解明であった炭素繊維/エポキシ樹脂界面の接着機構が明らかとなった。これまでに接着を原子レベルで取り扱った研究は少なく、企業や研究機関からの注目を浴びている。本研究によって得られた知見はより接着性のよい炭素繊維表面を設計する上で非常に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初に計画通り、炭素繊維表面として妥当なモデルを構築できた。また、炭素繊維とエポキシ樹脂との接着界面の構造最適化を行い、妥当な接着機構を提案した。更に、最大接着力の計算や表面の官能基が接着性に与える影響も明らかとした。これらの結果を論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ計算していないカルボニル基、エーテル基などが接着に与える影響を研究する。さらに、表面に吸着した水などの小分子が接着に与える影響を研究する。
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Research Products
(4 results)