2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物の土壌環境適応戦略における選択的スプライシングの機能的、進化的解析
Project/Area Number |
13J08293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 翔 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 選択的スプライシング / 栄養 / 植物 / 土壌 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 亜鉛超集積植物Noccaea japonica由来ZNT1/ZIP4のsplicing isoformの機能解析:2種類のsplicing isoform ZNT1.1とZNT1.2の内、昨年度までに酵母のZn transporterを相補することが示されたZNT1.2を過剰発現するArabidopsis thalianaを作成し亜鉛集積性を調査した。その結果、根のZn濃度が形質転換植物で有意に上昇することが認められ、植物体においてZNT1.2はZn transporterをコードすると結論づけた。ZNT1.1を過剰発現する形質転換植物ではこのような亜鉛濃度の変化は認められないこと、A. thalianaではZNT1.1に相当するORFを優先して発現しておりZNT1.2に相当するORFはほぼ検出されないことから、N. japonicaにおけるZn超集積性とZNT1.2の関係性に興味がもたれた。 2) 栄養欠乏ストレス下における選択的スプライシングの網羅解析:擬似RNA-seqデータを用いたsimulation testにより、前年度構築した転写産物のアッセンブルパイプラインの偽陽性検出率の調査とパラメーターの最適化を行った。その後、実際のRNA-seqデータを元に転写産物のアッセンブルを行った。検出された全転写産物の17%に相当する約9000個の新奇転写産物が検出され、栄養欠乏応答性の新奇転写産物の候補についても複数検出することができた。続いて、転写産物の発現量データを元に栄養欠乏に応答してisoformの存在比が変化する遺伝子の探索を行い、候補遺伝子を216個に絞り込んだ。これまでにSNARE protein、protein kinase、MYBなどの遺伝子で特定の栄養欠乏に応答してスプライシングパターンが変化することを確認した。これらの遺伝子はisoformの存在比は栄養欠乏に応答して変化するが、isoformの転写産物の総量には変化が無いことから、栄養欠乏下のisoformの発現量を調査したことで初めて栄養欠乏との関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) について、新たに追加実験が必要となったため、当初予定していたH26年度での論文投稿を断念した。しかし実験は順調に進行しており、H27年度の論文投稿を目指し準備を進めている。2)については、RNA-seqのデータ解析は9割方終了しH25年度の遅れは十分取り戻した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) について、ZNT1.2に相当するA. thaliana由来のZIP4.2を過剰発現する形質転換体の亜鉛集積性を評価することで、ZIP4.2がZNT1.2と同様にZn transporterをコードしているのか否かを検証する。また、オランダの研究グループから譲渡していただいた複数のNoccaea属植物とその近縁種におけるZNT1/ZIP4のスプライシングパターンを解析することで、ZNT1/ZIP4の選択的スプライシングとZn超集積性との相関関係を調査し、さらにそれぞれの種由来のZNT1/ZIP4の塩基配列も同時に比較することで、亜鉛超集積能を獲得したNoccaea属におけるZNT1/ZIP4の分子進化について考察する。これらの結果が得られた段階で論文としてまとめる。 2)について、RNA-seqデータ解析を全て終了させ、栄養欠乏下の植物においてisoformの発現パターンをゲノムワイドに調査した初めての例として論文にまとめ発表する。
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[Journal Article] Two Distinct Families of Protein Kinases Are Required for Plant Growth under High External Mg2+ Concentrations in Arabidopsis2015
Author(s)
Junro Mogami, Yasunari Fujita, Takuya Yoshida, Yoshifumi Tsukiori, Hirofumi Nakagami, Yuko Nomura, Toru Fujiwara, Sho Nishida, Shuichi Yanagisawa, Tetsuya Ishida, Fuminori Takahashi, Kyoko Morimoto, Satoshi Kidokoro, Junya Mizoi, Kazuo Shinozaki, Kazuko Yamaguchi-Shinozaki
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Journal Title
Plant Physiology
Volume: 167
Pages: 1039-1057
DOI
Peer Reviewed
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