2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08321
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 秀徳 神戸大学, 経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 新規株式公開 / ストックオプション / 人的資本 / スタートアップ |
Research Abstract |
人材は企業成長に欠かすことのできない資本であるにもかかわらず, 一般にスタートアップ企業は人材を引き付ける知名度も潤沢な資金もないため, 人材を確保することが困難である。そのため, スタートアップ企業にとって, いかに優秀な人材を確保するかが重要な課題になっている。 このようなスタートアップ企業にとって, ストックオプションが果たす役割は大きいと考えられる。ストックオプションは, 優秀な人材を碗保するためのインセンティブ報酬としての役割を果たすだけでなく, 現金の流出を伴わない報酬であるため, 現金の保守にもつながると認識されている。ストックオプションに関する研究は数多く存在するが, それらの研究の多くは成熟した大企業を中心に扱っており, スタートアップ企業におけるストックオプションの役割に関してはほとんど明らかにされていない。 本研究(当該年度)は, 2006年から2011年の間に日本の新興企業向け株式市場(マザーズ等)に上場した206社の企業属性とストックオプション付与状況に関する情報を『株式公開白書』と『新規株式公開時の目論見書』から収集し, ストックオプションの付与が人材の確保に与える影響を検証した。その結果, 1. スタートアップ企業は役員が入社した後に役員に対してストックオプションを付与していること, 2. これらのスタートアップ企業は早期に新規株式公開(IPO)を達成していること, が明らかになった。この結果は, スタートアップ企業において, ストックオプションは人材の確保に貢献しその後の成長(早期のIPO)を促していることを示唆している。以上の分析結果を, 国内学会・講演で3回と国際学会で4回の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度までに達成すべきことは, 1. 先行研究のレビュー, 2. データ収集, 3. 分析, 4. 学会報告, であった。これら4項目の全てを達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に, 分析結果をより頑健なものにするため, 学会でのコメントをもとに迫加検証を行う。第二に, 文章(英語)をより洗練されたものに改良する。適切な英語表現を使用するように心掛ける。この点にっいては, Thesaurusなど定評のある同意語辞典を引いて対応する。また, 論文の導入部分の文章を改良する。これまでは, 人的資本とIPOに焦点を当てて論文を構成していたが, 学会等でのコメントを参考に, ストックオプションが人的資本の確保において果たす役割について強調した文章にする。
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Research Products
(8 results)