2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08344
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白 楊 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 人称代名詞 / 再帰代名詞 / 成立過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2015年度の研究に引き継いで、具体的には、以下の三点を達成した。 (一)、2015年度に論文「訳語『彼・彼女』について」の口頭発表においては、名詞の「彼・彼氏」と代名詞の「彼・彼氏」がそれぞれどのような文脈で使用されるかなどが問題点として挙げられた。今年度は、これらの問題点に対して、品詞性と構文の特徴を中心にし、現代日本語書き言葉均衡コーパスから用例を集め、「「彼」と「彼氏」について」をテーマにし、論文をまとめ、2016年7月23日に国語学懇話会例会で口頭発表をした。 (二)、2015年度に発表した論文「訳語『彼・彼女』について」は、主として近代に注目し、「彼」「彼女」がいつ近代の国語辞書で立項されたか、また、いつ朝日新聞で成立したかを明らかにした。今年度は、近世に着目し、近世白話小説の翻訳における第三人称代名詞について調査を行った。作成した論文「訳語「彼・彼女・彼等」について-近世から現代までの定着と発展を中心に-」は、2016年8月4日に中国南京大学で、日本解釈学会と南京大学共催した「日中言語・文化研究国際学術共同シンポジウム」で口頭発表した。そこで得られた意見を踏まえ、発表論文を添削し、雑誌『解釈』に投稿する予定です。 (三)、再帰代名詞「自分・自身・自己・自体」について、用例を収集し、その使い分けと歴史的変遷を考察した。作成した論文「再帰代名詞「自分・自身・自己・自体」の使い分けについて」は、2016年10月22日に、名古屋言語研究会例会で口頭発表した。そして、そこで得られた意見と問題点を踏まえて、「自己」という語を中心に、「自己」の定着過程、使用状況、中国語との関わり、及び「自身」との使い分けを明らかにし、「「自己」という語について」という論文をまとめ、投稿する予定です。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「近代語彙と語法の成立」というテーマは範囲が大きく、どのように絞ってくるのが大きな問題であった。先行研究を分析し、日中両言語を対照することを通して、三人称代名詞「彼・彼女・彼等」、不定代名詞「一種・一個」、再帰代名詞「自分・自身・自己」の三つに絞ってきた。そして、日本近代翻訳小説、近代からあった新聞記事、及び中国近代翻訳著作、特に「日本語訳を介した翻訳著書」を調査し、資料リストを作成し、研究方法を明らかにした。研究対象が絞られ、研究方法が明らかにしたうえ、研究論文を作成し、積極的に学会発表を参加し、発表した内容を投稿するのを検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、具体的には以下の三つの方向がある。 (一)今までの研究で得た方法で、まだ調査していない問題点を研究していく。具体的には、人称代名詞を調査する時に得られた資料の収集と分析方法で、再帰代名詞、不定代名詞も調査して行くこと。 (二)今まで学会で発表した内容を、添削・加筆・修正し、学会誌や機関誌へ投稿すること。 (三)今まで発表した論文、投稿した論文を集め、博士論文を完成させること。
|
Research Products
(3 results)