2013 Fiscal Year Annual Research Report
多波長分光観測による回転ブラックホールでのブランドフォード・ナエック機構の検証
Project/Area Number |
13J08352
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小山 志勇 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高エネルギー天体物理 / ブラックホール / X線観測 / 大気チェレンコフ望遠鏡 / 光電子増倍管 |
Research Abstract |
ブラックホール連星のX線観測について「すざく」衛星の観測データを用いて研究を行った。LMC X-1という天体に注目し解析を行ったところ、10^4-10^5sと約300sの2種類の時間変動を発見した。スペクトル解析により、長い時間タイムスケールの変動は降着円盤周辺のコロナが起源であることが分かった。ケプラー回転におけるガスの運動学を解くことで、コロナの変動がブラックホールから数1000km以上離れた領域にあることが示唆された。一般にコロナから放射はべき関数状の放射で観測され、比較的特徴が少ないことから、単純なスペクトル解析コロナの存在する領域や形状といった幾何学的な情報が十分に得られていなかった。本研究では、時間変動を用いることで、コロナがブラックホールから遠く離れた領域まで広がっていることを示した。この結果について日本天文学会年会および、すざく-MAXI国際会議にて発表を行い、投稿論文を準備している。 CTAガンマ線望遠鏡は2015年の建設開始に向けて、現在は大口径望遠鏡1号機の開発段階にある。本研究では大口径望遠鏡のカメラ開発に参加している。開発中のカメラは光検出器として光電子増倍管を採用する。限界までカメラの性能を引き出すには、一本一本の特性を正確に測定したうえで、印加電圧やカメラ状の配置を調整する必要がある。一方でカメラ一台に用いられる光電子増倍管は1855本であり、最終的に8台の大口径望遠鏡を建設することを考えると1万本以上に及ぶため、一本一本の較正試験は精度と効率の両方が求められる。私は要求される性能をもとに、測定精度と測定時間、また試験系の開発コストをトレードオフしながら、最適な較正方法の開発し、実証に成功した。これをもとに、現在は東大宇宙線研究所での本格的な試験系の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線観測によりブラックホール天体の降着流について新たな知見を得ることができた。これにより本研究の目的の一つであるブラックホールの回転の精密測定を行う上で重要な制限を与えることができる。またCTA望遠鏡の開発も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中のLC X-1についての論文を投稿するとともに、ここで用いた解析手法を他の解析データにも適用する。これによりコロナの時間変動を系統的に調査し、これまでよくわかっていなかったコロナの形状に対して一般的な描像を与える。 CTA望遠鏡は2016年の一号機建設に向けて、光電子増倍管一本ごとの試験から、1855本を組み合わせた焦点面カメラ単位での総合試験に向けて進めていく。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Spectral Variation of LMC X-1 with Suzaku2014
Author(s)
S. Koyama(Saitama University), S. Yamada(Riken), M. S. Tas hiro, Y. Terada(Saitama Univer sity), A. Kubota(Shibaura Instit ute of Technology), K. Makishim a(Universitv of Tokyo)
Organizer
Suzaku-MAXI 2014 "Expanding the Frontiers of the X-ray Universe"
Place of Presentation
Ehime University, Japan
Year and Date
20140219-22
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