2014 Fiscal Year Annual Research Report
多波長分光観測による回転ブラックホールでのブランドフォード・ナエック機構の検証
Project/Area Number |
13J08352
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小山 志勇 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / X線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホール連星のX線スペクトルはHigh/Soft状態、Low/Hard状態という二つの安定状態を持つことが知られている。本研究ではLow/HardからHigh/Softへの中間状態ではVery High状態における円盤とコンプトン成分の変化に注目し、「すざく」衛星によるLMC X-1の観測データの解析を行った。「すざく」衛星は0.5-600 keVの広帯域での高感度観測が可能であり、円盤成分の現れる数keV帯域とコンプトン成分の現れる10 keV以上の帯域で高精度なスペクトルを得ることができる。 「すざく」によるLMC X-1の観測は2009年6月21日から24日に行われ、0.5-50 keVで約110 ks分の有効なデータが得られた。時間平均スペクトルは一般的なHigh/Soft状態でみられる円盤と単一のコンプトン成分の足し合わせでは説明できず、別のソフトなコンプトン成分が必要であることが分かった。これはVery high状態でみられる3成分モデルに一致する。また光度曲線から10-100 ks程度のスケールの変動がみられ、明るい時間帯と暗い時間帯でデータを分け、それぞれのスペクトルの比較を行った。結果、円盤とソフトコンプトン成分の変動はなく、10%程度のハードコンプトン成分の変動で説明されることが明らかになった。したがってハードコンプトン成分をスペクトル空間だけでなく時間変動を用いて分離することに成功し、3成分モデルの優位性を補強する結果である。 以上のLMC X-1の観測結果を、他のブラックホール天体のVery High 状態における観測結果と比較したところ、円盤の内縁半径が途切れている状態の天体と比べ、LMC X-1では熱的コンプトン成分のエネルギー的な寄与が小さいことが分かった。この事実から、Very High 状態からHigh/Soft状態の遷移において、円盤の伸展にともなって種光子が増加し熱的コンプトンプラズマが冷やされ、しだいに消えていくという定性的な解釈が得られた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Journal Article] The large size telescope of the Cherenkov Telescope Array2014
Author(s)
Ambrosi, G.; Awane, Y.; Baba, H.; Bamba, A.; Barcelo, M.; Barres de Almeida, U.; Barrio, J. A.; Blanch Bigas, O.; Boix, J.; Brunetti, L.; and 117 coauthors
-
Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: Volume 9145
Pages: 91450P 10 pp
Open Access
-
-
-
-