2014 Fiscal Year Annual Research Report
4次元-2次元、3次元-3次元場の理論の双対性とM5ブレーン多体系の物理
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13J08436
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅野 正一 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超対称ゲージ理論 / M理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は弦理論の非摂動的定式化の候補であるM理論、特にその基本的自由度の一つであるM5ブレーンを用いて超対称ゲージ理論の性質を調べることを目的としている。 4次元N=2超対称理論をフラットなM5ブレーンの有効理論である6次元N=(2,0)理論のコンパクト化として実現する手法は、今まで知られていなかった4次元理論の双対性や、強結合の物理の解明、2次元理論との対応の発見など大きな成果を上げてきた。また局所化という手法の発達により、分配関数や超対称指数といった物理量を厳密に計算できるようになり、それらに基づいて定量的な議論も可能となっている。 一方、それより超対称性の低い4次元N=1超対称理論をM5ブレーンをADE特異点に置くことなどして構成できる6次元N=(1,0)理論のコンパクト化として実現する手法は限られたクラスの理論しかなされていない。4次元N=1超対称理論はN=2理論より対称性が低いため解析が難しいが、その分豊富な物理を含んでおり、超対称ゲージ理論の性質、ひいてはM理論の性質を理解する上でも重要な対象である。そこで、この手法をより広いクラスの理論に拡張すること、特にD型のゲージ理論に対する拡張に取り組んだ。N=2の場合と同様に、まずは超弦理論のブレーン系としてD型ゲージ群をもつ4次元N=1理論を構成し、それをM理論に持ち上げることでコンパクト化する2次元面の幾何とゲージ理論との対応を読み取るということを現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的であった4次元N=2理論と2次元CFTとの対応の研究では大きな進展は得られなかった。一方、4次元N=1理論を6次元N=(1,0)から構成するという非常に魅力的な手法が提唱され、ゲージ理論とM5ブレーン系の関係性についてさらなる理解が進むことが期待されている。しかしこの手法は発展途上であり、どの程度広い理論に対して拡張できるかやN=2の場合のように対応する2次元理論など、今後更に研究を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在取り組んでいるD型ゲージ群を持つ4次元N=1超対称理論の6次元N=(1,0)からの構成をより詳細に調べ、コンパクト化する2次元面の幾何とゲージ理論の性質との関係を明らかにすることを第一の目標とする。その後は双対性の議論や超対象指数を用いた定量的な議論に取り組みたい。
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