2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサンの熱応答スイッチの開発と液晶エラストマーへの展開
Project/Area Number |
13J08490
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 陽子 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロタキサン / 分子スイッチ / 熱応答性 / 液晶ポリマー / 液晶エラストマー / 可動性架橋点 / クラウンエーテル / アクチュエーター |
Research Abstract |
本研究は、熱応答ロタキサンスイッチの熱応答特性の改良や液晶エラストマーへの展開を目指す。この研究課題を達成することで、超分子材料の固相での機能制御やロタキサン構造を刺激応答部位とした液晶特性制御法の開発、新規刺激応答性液晶エラストマーの構築が期待でき、超分子の材料への展開が飛躍的に進歩すると言える。これらを達成するために、本研究では、1. 熱応答性分子スイッチの確立、2. 液晶-ロタキサンの共重合体の物性解明を検討し、基礎的知見を得たうえで3. 液晶エラストマーの合成と物性解明を行う。本年度の実施状況は以下の通りである。 1. 熱応答性分子スイッチの開発 ロタキサンの熱分解反応温度を検討した結果、シアノ酢酸、フェニルスルホニル酢酸、フェニルプロピオール酸において、トリクロロ酢酸よりも高温で分解する熱応答性分子スイッチを達成した。また、トリクロロ酢酸を対アニオンとするロタキサンにおいて、固相中で輪成分ステーションに戻す反応の検討を行い、可逆的なスイッチを達成した 2. 液晶-ロタキサンの共重合体の物性解明 ロタキサン構造の組成と輪の運動性が異なる液晶ポリマー(PRx・PF6, PRx)を合成し、液晶特性を比較した。輪が固定されている場合、輪の組成が増えるほど液晶の安定性が変化し組成が5,10mol%のポリマーで液晶相を示した。また、相転移時の吸熱ピークがブロード化した。さらに、10mo1%可動性輪成分を有するポリマーでは液晶を示さず、結晶性ポリマーへと変化した。液晶ポリマーに対するロタキサン構造導入の効果を明らかとなり、論文掲載が決定された。 3. 液晶エラストマーの物性解明液晶 エラストマーの作成方法を検討した。また、合成したフィルムの形状変形と力学特性を測定したところ、架橋構造を固定した場合、通常の化学架橋と同様の強度を示し、架橋点を可動性にすると、柔軟な架橋骨格として機能することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の液晶-ロタキサンの共重合体の合成と物性解明を達成し、論文の投稿を行い掲載決定された。また、来年度行う予定であった、液晶エラストマーの合成方法を前倒しで検討し、エラストマーの物性検討を進行させている。また、研究計画の基盤である熱応答型ロタキサンスイッチの検討において、完全固相中で可逆的なスイッチが達成され、学術論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年度目で、液晶エラストマーの合成に成功している。この手法を用い、最終年度においては目的の刺激応答性液晶エラストマーの構築と物性解明に向け、フィルム作成法、架橋密度、架橋点の運動性などを変えながら形状変形や力学物性の検討を行っていく。ロタキサン型架橋剤の効果や熱応答性分子スイッチの効果を精査する。
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Research Products
(6 results)