2014 Fiscal Year Annual Research Report
水素のミクロ・マクロ熱流動特性に対する量子効果発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
13J08613
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永島 浩樹 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 水素 / 量子効果 / 分子動力学 / 輸送物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、セントロイド分子動力学(CMD)法を用いて、水素分子の量子効果がその輸送物性に与える影響とその分子論的メカニズムを明らかにした。交付申請書に記載した通りに、Green-Kuboの方法より液体水素の拡散係数を計算し、古典MD法の結果と比較することで、水素分子の量子効果がその拡散性に与える影響とその温度依存性について議論を行った。さらに、非平衡分子動力学法を用いて熱伝導率の評価も行った。 CMD法と古典MD法より得られた拡散係数を対応状態原理に基づいて比較した結果、CMD法の結果と古典MD法の結果はほとんど同じ温度依存性を示すことが明らかとなった。この要因を調べるために、水素分子間ポテンシャルを作成し比較したところ、斥力範囲が広くなり、さらにポテンシャル井戸の深さが浅くなることが分かった。つまり両MD法が同じ温度依存性を示したのは、量子効果による二つの分子間相互作用の変化がお互いの影響を打ち消しあうため、結果的に両MD法が同じ温度依存性を示すことが明らかとなった。さらに非平衡分子動力学法による熱伝導率の解析では、量子効果を考慮することで熱伝導率が低下すことが分かった。これは、量子効果によりポテンシャルエネルギ自体が小さくなり、さらに分子間相互作用が弱くなるため、分子運動によって輸送されるポテンシャルエネルギが低下し、分子間相互作用により輸送されるエネルギが低下することが原因であることが明らかとなった。 これらの研究成果は、従来のMD法では水素の熱流動現象を正確に予測できないことを明確にしたものであり、工学的に重要な燃料である水素を安全かつ効率良く使用するためには、大変有意義な研究成果である。また、本研究では、液体における量子効果の分子論的メカニズムについても明らかにしており、これは学術的に大変大きな意義を持っている。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(10 results)