2013 Fiscal Year Annual Research Report
アミドアミン誘導体による新規ナノ触媒の創製と高機能化
Project/Area Number |
13J08641
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊村 芳郎 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | ナノ粒子 / 形態制御 / 触媒 / 貴金属 |
Research Abstract |
貴金属ナノ結晶は、形態やサイズによって触媒特性などが大きく変化することが知られている。本研究では、様々な形態のナノ結晶を作製して触媒特性の検討を行い、新規ナノ触媒の創製を目的としている。これまで、保護剤分子に長鎖アミン誘導体を用いたナノワイヤーの作製と触媒特性の検討を行ってきた。しかしながら、保護剤の洗浄過程でナノワイヤーが容易に融合・凝集してしまうなどの問題点があった。そこで本年度は、分散性を向上させるため、アルミナ担体上に金ナノフラワーを吸着した担持触媒の調製と触媒特性の検討を行った。 金ナノフラワーは、金表面に対して特異的な吸着特性を持つアミン誘導体(メラミン)を用いて作製した。さらに、この分散溶液にアルミナを加えることで、アルミナ担持金ナノフラワーを得た。触媒として利用するには、保護剤のメラミン分子を取り除く必要がある。そこで、加熱による分解と水による洗浄の二種類の手法でメラミン除去を行った。まず、加熱分解ではメラミンの分解温度が金ナノフラワーの形態が変化する温度よりも高いため、メラミンが分解するより先にナノフラワー形態が球状へと変化してしまった。一方、水による洗浄操作を繰り返し行うと、メラミンがほぼ完全に除去できたことが赤外吸収スペクトルおよびTG-DTA測定よりわかった。また、水による洗浄前後の金ナノフラワーの形態を透過型電子顕微鏡観察および紫外可視吸収スペクトルによる表面プラズモンバンドから評価したところ、形態にも変化がないことが示された。さらに、アルミナ担持金ナノフラワーの触媒活性についてフェニルエチルアルコールの酸化反応を用いて検討したところ、同程度の大きさの球状ナノ粒子よりも触媒活性が高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的の一つである、「ナノ結晶形態を維持したままでの担体上への吸着および保護剤の除去」について重点的に取り組み、結晶形態が制御された様々な担持ナノ触媒の調製さらには触媒特性の評価を行うための足場を構築できた。現在、得られたアルミナ担持金ナノ結晶の触媒特性の評価に着手しており、新規ナノ触媒の調製と触媒特性の評価についての研究課題が予定通り進行しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調製したアルミナ担持金ナノフラワーの触媒特性について詳細に検討する。特に、表面原子あたりの触媒活性を算出し、球状ナノ結晶とフラワー状ナノ結晶の触媒特性の違いについて調べる。また、金ナノ結晶を用いたアルコールの酸化反応では. 金ナノ結晶に銀を添加することで触媒活性が向上することが知られており、金ナノフラワーに銀を添加した金-銀ナノフラワーの調製と触媒特性の評価についても検討する。
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Research Products
(8 results)