2013 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体加速による超高Q・超高電界加速器の実証と超高輝度ビームとの融合の研究
Project/Area Number |
13J08681
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 大輔 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 誘電体加速 / フォトニック / ウィスパーリングギラリーモード / 誘電体誘起波加速 / チェレンコフ放射 |
Research Abstract |
本研究は、誘電体の持つ低誘電損失特性を利用した液体窒素温度で10^6~10^7程度の高いQ値をもつ①フォトニック加速空洞の開発と、高耐電圧特性を利用した②超高電界(>数GV/m)の誘電体誘起波加速の応用というそれぞれ異なる2つの誘電体加速方式の原理実証を行うことが目的である。 本年度は①フォトニック加速空洞の原理実証に向け、最も重要な低誘電損失材料の探索とその誘電特性等を評価するための測定装置開発に取り組んだ。具体的には、所有する高温電気炉を用い、多結晶セラミックス(アルミナ等)のウィスパーリングギャラリーモード誘電体共振器を自作し、誘電体の複素誘電率測定と、将来的にフォトニック加速空洞の高電界試験も可能な真空チェンバーの設計・立ち上げを行った。そして、これらを用いて誘電特性を測定した結果、アルミナ4Nやサファイアを使用した誘電体共振器が室温で10万以上の高いQ値を示し、既存の常伝導体(高純度銅など)では、到達不可能な高いQ値の共振器の製作に成功した。 次に、②誘電体誘起波加速に向けては、自作した微小誘電体管内に誘起される誘起波の放射周波数を理論的に計算し、3次元PIC法(Particleincellmethod)を用いて、誘起波の加速電界、エネルギーゲイン等の詳細な計算を行った。この計算を基に産業技術総合研究所の30MeV S-band電子ライナックからの超短パルス電子ビームを使用して、実際にチェレンコフ放射(誘起波)発生実験を行い、干渉計を用いたインターフェログラム計測を行った。その結果、設計通り数十GHz付近にピークを持つ誘起波の放射スペクトルの検出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①フォトニック加速空洞の開発に向けては、本研究で最も重要となる低誘電損失材料を見つけ、かつ所有する設備で高Qウィスパーリングギャラリーモード誘電体共振器の製作に成功した。また、②誘電体誘起波加速器においても詳細な電磁場計算を行い、それに基づいて設計した微小誘電体管で実際に誘起波発生に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
①フォトニック加速空洞の開発においては、実際にフォトニック加速空洞の量産化等やセラミック形成方法等を考慮した加速空洞の高周波設計を行う。そして、実際にはシングルセルから数セル程度のテスト空洞を製造し、空洞の低電力試験を行う。 ②誘電体誘起波加速器の研究では、最終目標である8GeVの電子ビームの加速に向けて、誘電体構造の設計・製作を行う。また、本研究には精密なビームアライメントが必要であるため、それを可能にする多軸可動治具の設計・製作も並行して行う。
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Research Products
(3 results)