2014 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体加速による超高Q・超高電界加速器の実証と超高輝度ビームとの融合の研究
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13J08681
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 大輔 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 誘電体加速 / フォトニック構造 / 高Q加速管 / 誘電体誘起波加速 / チェレンコフ放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、誘電体の持つ低誘電損失特性を利用した液体窒素温度で高いQ値をもつフォトニック加速空洞の開発と、高耐電圧特性を利用した②超高電界(>数GV/m)の誘電体誘起波加速の応用というそれぞれ異なる2つの誘電体加速方式の原理実証を行うことが目的である。 フォトニック加速空洞の原理実証研究においては、特に(1)フォトニック加速空洞原理実証機の高周波設計と(2)試作機の製作・低電力試験を中心に行ってきた。本研究においてフォトニック構造の高周波設計は、加速空洞の性能、製造コスト等が直接関係する非常に重要なパーツの一つである。私は、非常にシンプルなフォトニック構造で、従来の常伝導空洞よりも数桁高い電力効率を持つ加速管構造を発見した。このコンセプトを原理実証するために3次元電磁場解析ソフトを用いた高周波設計を行い、空洞内部での電力損失が最小になるように滑降シンプレックス法を用いて空洞形状の最適化も行った。最終的には、本加速空洞の最もシンプルな構造をしたシングルセル空洞を製作し、ネットワークアナラーザーを用いて、空洞性能を評価するための低電力試験を行った。その結果、本空洞のQ値(空洞内部での電力損失の小ささを表すパラメータ)は、計算通り一般的な常伝導性空洞の加速モードのQ値の数倍高い値を実現した。 誘電体誘起波加速実験においては、昨年度、産業技術総合研究所で行った実験で問題となった「ドライブビームのミスアライメントによる加速モード以外の電磁場モードが誘起」を減らすため、加速管の6軸制御機能を搭載した実験チャンバーを製作した。そして、本実験チャンバーをビームラインにインストールし、平成27年度のビーム加速実験に向けて加速管の設計等の準備を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォトニック加速空洞の開発においては、本研究で最も重要な加速管の加速効率が従来の常伝導加速空洞よりも数倍高くなるフォトニック構造を発見した。また、実際に試作機を製作し、低電力試験において本加速管の優位性を実験的に証明することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
フォトニック加速空洞の開発においては、高電力試験を行った場合、加速管内部で放電が頻発する可能性がある。そのような問題が発生した場合、加速管のロウ付けや誘電体セルと銅筐体の冷やしバメによる固定等により、放電発生の低減化を目指す。 誘電体誘起波加速器の研究では、最終目標である7GeVの電子ビームの加速に向けて、誘電体構造の設計・実機製作を行う。
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Research Products
(2 results)