2013 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀日本の〈医〉身分を巡る序列機構の思想史的研究
Project/Area Number |
13J08687
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
股座 真実子 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近世史 / 徳川日本 / 医療 / 江戸 / 京都 / 知識人 / 学問 / 身分 |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するために領主層・民衆・国際環境という3つの分析視角を設定しており、2013年度は上記3点に基づく資料の収集・分析および成果発表に並行して取り組んだ。17世紀の領主層に焦点化したこれまでの成果を基盤に、新たに、主に国立公文書館・京都府立総合資料館・京都府立医科大学・天理大学や個人蔵、デジタルデータにて閲覧可能な国外の資料調査を行い、共同研究者および研究協力者を得つつ、下記の通り発表を実施した。口頭発表での議論を受け、資料の補完およびデータ整備を行い分析を深化させた結果、論文発表の準備が整っている。従来、京都を主要なフィールドとしてきたが、研究の過程で、尾張徳川家や中国地方および九州の諸藩、更にイタリア等の国外の大学図書館において課題解決に有効な資料が存在していることが判明した。対象とする時代の射程を19世紀、明治初期に拡げることで、引き続き研究の発展が期待できるという見通しを得ている。 各種領主と重層的な支配関係を結びつつ時として自らも所領を持つ医療従事者達の存在形態や、町に住む人々の医療環境を個別に検討すると同時に、京という医業・薬種に関わる人材が集積する地域を中心にその人材の空間的分布と経年変化を追う。左記のようなミクロ・マクロ双方の視座に基づく分析手法を採用することで、当該期の医療構造の全体像解明に向けて歩を進めている。また特に、既往研究では間隙となっている近世期の朝廷および民衆に関係した、いわば極点における医療状況の解明を進展させており、新事例の実証を積み重ねている。以上、本研究の利点は、手法的な実験、新知見の提示、現代社会に至るまで問題化している医療現場における相克にひきつけて一時代の特質を適示し得ることにある。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)