2014 Fiscal Year Annual Research Report
パルス超音波を用いた過酷環境流動計測システムの開発
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13J08768
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井原 智則 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超音波流速分布計 / 溶融ガラス / 導波棒計測 / 音響物性評価 / 広帯域信号処理 / 計測可能距離 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高レベル放射性廃棄物処理のためのガラス溶融炉内流動に代表される過酷環境流動に対する計測技術を実現する為に、パルス超音波を用いた超音波流速分布計測(UVP)法を溶融ガラス流動計測に適用することを目的とし、以下の知見を得た。 1.溶融ガラス中の音速と音響減衰率の温度変化を評価するために、信号処理によって遅れエコーの影響を抑制できるフレーム差分法を考案した。フレーム差分法においては、エコー信号の経時変化に着目することで、計測関心部からの反射信号のみを抽出することが可能となる。本手法を用いることで、超音波反射法を用いながらも透過法と同等の計測精度を実現した。 2.流速分布を求めるアルゴリズムについて、従来の狭帯域信号処理手法を発展させ、広い周波数領域における速度情報を活用した広帯域位相差分法を提案した。本手法を適用することで、導波棒計測の際に課題となるクラッターノイズの影響を大幅に低減することが可能であること明らかにした。 3.高減衰流体である溶融ガラス内における超音波流速分布計の計測可能距離の評価を行った。評価においては、導波棒に対して相対的に一定速度で動く壁面からの反射信号を解析し、移動速度と計測速度の比較を行うことで計測可能距離を決定した。その結果、導波棒内における遅れエコー比と溶融ガラス中での音響減衰率によって計測可能距離が定められることを明らかにした。 4.溶融ガラス内における物体挙動計測として、1100℃のガラスの中にジルコニア球を設置し、その挙動を構築した計測システムでリアルタイムで可視化し、実際の球の挙動を速度分布として再構成可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遅れエコーを大幅に低減させた導波棒の開発と耐雑音性の高い信号処理アルゴリズムを見いだすことが出来たことから、パルス超音波を用いた過酷環境流動計測システムの要素技術開発がかなり進展したといえる。加えて、構築したシステムを用いて溶融ガラス中における物体挙動計測が可能であることを示すことが出来た。このことから、溶融ガラスに対する計測システムの開発という目的はかなり達成することが出来たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した過酷環境流動計測システムを用いて溶融ガラス内の挙動計測が可能であることを示したが、その計測精度に関する検討はまだ行われていない。しかし、溶融ガラスが高減衰流体であるがゆえに、実験で用いる超音波励起周波数を基にした空間分解能と計測可能距離のトレードオフ関係が発生する事が明らかとなり、計測精度検証においては実験上の制約が課される。そこで、最終年度となる平成27年度においては、同様の過酷環境流動に対して開発したシステムを適用し、計測精度に関する検証を行うことを目指す。
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Research Products
(6 results)