2013 Fiscal Year Annual Research Report
シスト形成・発芽系における細胞の形づくり:超シェルターの組み立て機構
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13J08784
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
十亀 陽一郎 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 無代謝休眠 / 原生動物 / シスト / 二次元電気泳動法 |
Research Abstract |
単細胞生物のシスト形成過程は、大規模な形態形成と代謝停止を伴う環境耐性獲得のプロセスである。本年度は、『シスト形成過程で発現変化するタンパク質』に焦点を絞り解析を行った。 シスト形成過程におけるタンパク質の発現変化をSDS-PAGEで経時的に解析した結果、細胞の全タンパク質量がシスト形成が進むにつれ徐々に減少した。また、細胞のmRNA量を定量したところ、タンパク質量の減少に先駆けて減少した。つまり、シスト形成過程では、転写調節によるタンパク質の発現調節が行われているということがわかった。 シスト形成過程におけるタンパク質の発現変化をより詳細に解析するため、二次元電気泳動法によりシスト形成過程におけるタンパク質の発現変化を経時的かつ網羅的に追跡し、発現レベルが変化したタンパク質をマススペクトル解析により同定した。その結果、熱ショックタンパク質60がシスト形成初期過程で一過的に発現上昇するなど、複数のタンパク質の発現レベルがシスト形成過程で変化することがわかった。これらのタンパク質の発現変化は、シスト形成過程における細胞の代謝停止や細胞内消化などの様々な形態形成と同調するため、シスト形成過程における細胞の形態形成において何らかの重要な役割を担っていることが考えられる。 次年度は、本年度同定したシスト形成過程で発現変化するタンパク質のフィーディングRNAi法による機能解析を試みる。シスト形成過程の細胞の形態形成に関わると思われるタンパク質をノックダウンしたとき、シスト形成過程にどのような影響が生じるかを解析することで、そのタンパク質の機能とシスト形成という1つの生命現象を理解する足がかりをつかむことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、シスト形成過程において化学修飾(リン酸化)されるタンパク質の解析については、あまり進展させることができなかった。一方、シスト形成過程で発現変化するタンパク質に関しては、複数のタンパク質の発現変化を二次元電気泳動法でとらえ、マススペクトル解析により同定することに成功した。さらに、来年度から行うフィーディングRNAiの実験系の準備も行うことができた。それゆえ本研究は、おおむね順調に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度からは、フィーディングRNAi法を用い、主に本年度同定したシスト形成過程で発現変化するタンパク質のシスト形成過程における機能を解析する。
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Research Products
(5 results)