2013 Fiscal Year Annual Research Report
光子と物質の相互作用と周期外場の相乗効果で起こる非平衡相転移の研究
Project/Area Number |
13J08794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 達彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非平衡相転移現象 / 共振器系 / 量子力学的干渉効果 |
Research Abstract |
本年度の研究は、外から駆動する外場の効果が協力現象にどのように現れるのかという疑問に答えることを目的に研究を進めた。その問題を調べるために、原子やqubitを用いて多体系を構築でき、またレーザーを用いることで外から駆動することのできる共振器系を取り上げ、その定常状態の性質について調べた。具体的には、多数の二準位系もしくは二準位原子が、光の量子化された単一のモードと相互作用していることを表すDicke模型に、レーザーの効果を表す項を加えた模型について考えた。この模型は古くから研究がなされてきたが、調べられてきたパラメータ領域に制限があった。今回の研究では, これまで調べることの出来なかった二準位系と光とのあいだの相互作用が強く、またレーザー強度の強く掛かった領域を調べることのできる量子マスター方程式を、平均場の手法と組み合わせることによって数値計算可能な形に導出した。その結果、外場の強くかかった領域において、相互作用の効果に加えて、駆動されているということが本質的な役割を果たして起こる非平衡相転移現象の存在が、新たに明らかになった。また、その非平衡相転移現象の本質を探るために、光の自由度を消去し、二準位系の自由度だけからなる、より簡単な構造を持った有効模型を導出した。そして、その有効模型から見積もることのできる、量子力学的な干渉効果を起源としたCoherent Destruction of Tunneling (CDT)の起こるパラメータと、相図上で非平衡相転移現象の起こるパラメータ領域との間に密接な関係のあることが分かった。結果、非平衡相転移現象の起源が、駆動外場による量子力学的干渉効果で引き起こされるCDTにあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共振器系で新たに発見された非平衡相転移現象の起源が、量子力学的な干渉効果によって引き起こされるCoherent Destruction of Tunnelingにあることを明らかにすることが出来、記載した研究の目的を達成することが出来たと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
外から駆動する外場の効果によって、系に秩序が現れるという反直観的な現象のより深い理解を目指す。そのため、熱浴のミクロな性質が、系の定常状態に与える影響について詳しく調べる。特に、熱浴のミクロな性質によらずに系の定常状態が記述出来る為の条件について調べ、外から駆動された注目系が弱く熱浴と接しているような駆動量子開放系の定常状態の定量的な特徴付けを目指す。
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Research Products
(5 results)