2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体内硬さ環境のインビトロ構築と細胞応答の定量解明
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13J08820
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松崎 賢寿 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞膜モデル / 膜弾性 / 緑茶カテキン / 細胞接着 / 細胞力学応答 / 組織集合 / 肝臓原基 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画に予定していた通り、埼玉県立がんセンター菅沼雅美博士との共同研究を実施した。近年、緑茶カテキンにがん細胞を硬化させる作用があることが発見され、これまで知られてきた緑茶カテキンの分子生物学的ながん再発予防作用とは異なったメカニズムとして注目を浴びている(Suganuma et al.,J.CancerRes. Clin.Oncol.2012)。しかし緑茶カテキンが細胞の何を硬化させているかというメカニズムについては未解明な点が多い。そこで申請者は緑茶カテキンとがん細胞の反応場である細胞膜に着目し、柔軟な細胞膜のモデル(ベシクル)の作成と緑茶カテキンを作用させた時の膜弾性の非接触・非侵襲測定システムの構築に挑んだ。その結果、緑茶カテキンが膜の揺らぎを抑制し、膜弾性を約10倍以上硬化さていることが明らかになった。本結果は緑茶カテキンによる膜の硬化作用ががん細胞の転移抑制メカニズムと密接に関係していることを示唆している。以上の結果は国際学会発表予定であり(The 2015 international chemical congress of pacific basin societies (Pacifichem)2015)、論文投稿中である。 また、昨年度に引き続いて横浜市立大学 医学部 武部貴則 准教授との共同研究も実施した。その結果、細胞の足場の硬さを制御することで、肝臓原基(臓器の芽)を高効率に誘導することに成功した(T. Takebe, T. Matsuzaki, H. Y. Yoshikawa et al., Cell Stem Cell 2015.雑誌表紙に選出)。また著書(松崎賢寿、吉川洋史、三次元ティッシュエンジニアリング、第1編 第1章 第2節 2015.)も執筆しており、研究はおおむね順調に進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は研究計画に予定していた通り、埼玉県立がんセンター菅沼雅美博士との共同研究を実施した。そこでは、柔軟な細胞膜のモデル(ベシクル)の作成と緑茶カテキンを作用させた時の膜弾性の非接触・非侵襲測定システムの構築に成功している。成果は雑誌論文1件、著書1件、学会発表2件として発表しており、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は緑茶カテキンが有する細胞膜の硬化メカニズムの定量解明を行った。そこでH27年度はH26年度に構築した足場硬さに応答するがん細胞接着の定量評価が行える実験プラットホームに緑茶カテキンを組み込む。そして細胞自身の硬さと足場の硬さがどのようにお互いが相関しながら細胞の接着を決定するのか定量評価する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Vascularized and Complex Organ Buds from Diverse Tissues via Mesenchymal Cell-Driven Condensation2015
Author(s)
T. Takebe, M. Eomura, E. Yoshizawa, M. Kimura, H. Koike, Y. Ueno, T. Matsuzaki, T. Yamazaki, T. Toyohara, K. Osafune, H. Nakauchi, H. Y. Yoshikawa, H. Taniguchi
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Journal Title
Cell Stem Cell
Volume: 16
Pages: 556-565
DOI
Peer Reviewed
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