2014 Fiscal Year Annual Research Report
超新星残骸におけるガンマ線と原子雲・分子雲観測による宇宙線加速起原の検証
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13J08861
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉池 智史 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子雲 / ガンマ線 / サブミリ波 / 宇宙線加速 / 超新星残骸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、銀河系内の宇宙線の加速起原として有力である超新星残骸(SNR)での宇宙線陽子加速を観測的に検証・特定し、さらにSNRの進化と宇宙線陽子加速の描像を解明することである。加速宇宙線陽子は、星間陽子との相互作用によりガンマ線を放射する。そのため、ガンマ線が検出されている複数の年齢数万年のSNRに対し、星間陽子とガンマ線分布の比較解析を適用する。平成26年度では下記のことを遂行した。 (1) SNR W28方向の12CO(J=1-0,2-1)輝線観測データ(NANTEN2望遠鏡)の解析を行い、衝撃波相互作用したガスを特定、その分布を明らかにした。相互作用ガスは、広い速度幅と高い輝線強度比を持つ。これは衝撃波相互作用による乱流の卓越(前者)と加熱(後者)の結果と理解できる。同様の特徴を持つガスは、前年度の解析で他のSNR(W44、IC443)でも見つかっている。また、この相互作用ガスは、フィラメント状の分布をしており、電波連続で見られるフィラメント構造と対応することも分かった。 (2) SNR W28方向のガンマ線に対応するガス成分の特定を行った。H.E.S.S.チェレンコフ望遠鏡によってW28上に一つ、その周辺で3つのTeVガンマ線ソースが見つかっている。過去の研究で、それぞれに対応するガス成分の存在は示されていたが、分解能・観測グリッドが粗いために正確に抽出出来ていなかった。NANTEN2による12CO輝線データを用いることで、各ガンマ線ソースに対応するガス成分を速度(V)+空間(X,Y)の3次元(X,Y,V)空間でより正確に抽出することができ、それぞれのガンマ線ソースに速度の異なるガス成分があることが分かった。 (3) W28のガンマ線起源について、W28上のガンマ線ソースは、(1)で述べた相互作用ガスと良く対応し、このことは、W28での宇宙線陽子加速を支持する結果である。前年度のW44やIC443の結果と合わせ、ガスと衝撃波の相互作用がSNRでの宇宙線陽子の加速と結びついていることを示唆する。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)