2014 Fiscal Year Annual Research Report
分解制御可能な人工ポリユビキチンの創製と細胞内機能解明
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13J08872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥 彰彦 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ユビキチン / リポソーム / カルモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、申請書年次計画に記した中で、人工タンパク質の効率的な細胞内導入法の開発に重点をおき、カルシウムイオン依存性タンパク質であるカルモジュリンに由来するペプチドを用いてリポソームを修飾することを目的に研究を行った。カルモジュリンは4つのヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフを持つ細胞内タンパク質である。カルモジュリンとカルモジュリン結合ペプチドが特異的に結合することがよく知られているが、N末端から3番目と4番目のモチーフであるHLH3とHLH4自体がヘテロダイマーを形成する可能性も示唆されている。しかし、その詳細は不明な点が多い。そこで本研究では、まずこのペプチドの相互作用について調べるために実験を行った。それぞれのペプチドにシステインを付加したHLH3-GC、HLH4-GCをFmoc固相合成法により調製した。このペプチドをレドックスバッファー中で反応させ、酸化体(ダイマー)と還元体(モノマー)の生成比率を比較したところ、カルシウムイオン存在化でヘテロダイマーのみが極めて特異的に生成することが確認された。次に、このHLH3とHLH4のN末端に、スペーサーであるPEG12、そして脂質であるコレステロールを結合させたChPHLH3,ChPHLH4を調製した。膜との親和性が高いコレステロールによりペプチドが膜に挿入され、リポソーム表面に提示されることが期待できる。このペプチドを用いてlipid mixing assayを行い、リポソーム間の融合効率を調べた。片方のリポソームを2種類の蛍光分子で標識し、もう片方のリポソームと混合すると、融合が起こった時のみ2つの蛍光分子間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が解消される。このアッセイにより、ChPHLH3,ChPHLH4で修飾したリポソームがペプチドを加えていないリポソームに比べてカルシウムイオン存在化でより高い融合効率を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しいリポソームベクターの開発、およびペプチドタグの機能解析等に時間を費やしたため、予定よりやや遅れた進行度合いとなっているが、この結果を基に研究を加速させ、27年度中に目的の達成を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
このペプチドにより修飾されたリポソームベクターがより高効率で融合できるカルシウムイオン濃度などの条件に関してさらなる検討を重ねていく。カルシウムイオン選択的な融合が確認できれば、実際に細胞とリポソームが融合を起こすことができるかについて検討していく。細胞とリポソームの融合に適切な条件が見つかり次第、人工ユビキチンが実際に細胞内に導入できるかについて検討を行う。
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Research Products
(2 results)