2013 Fiscal Year Annual Research Report
非アルキメデス的解析空間の特異ホモロジー論および積分論
Project/Area Number |
13J08878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三原 朋樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 整数論 / 解析空間 / 特異ホモロジー / p進表現 / p進解析 / 量子論 / 論理学 / 位相空間 |
Research Abstract |
ベルコビッチ空間の非アルキメデス的解析的特異ホモロジー論の精緻化を目指し、その礎としてp進表現論とp進解析論の未開拓分野の基礎付けを行い、それに伴って量子論のp進的解釈や位相空間論のストーン双対性のp進的解釈を与えた。まずp進行列の対角化問題に取り組んだ。整係数p進行列の対角化可能性問題と還元の関係は数論から物理学まで幅広い分野において興味が持たれているテーマであったが、p進解析論が未発達であったため十分な研究が進んでいなかった。そこで整係数p進行列の対角化可能性と還元の関係を完全に決定し、実際に対角化可能性判定アルゴリズムを剰余体上の有限的操作で構成した。この無限次元拡張も行うことで、p進作用素の古典的なスペクトル理論を大幅に精密化させることができ、結果的にヒルベルト空間上の作用素のスペクトル理論を必要としていた量子論のp進化に成功した。物理学のp進化とその解析は経路積分のアデール的拡張を始めとする近代的・近未来的科学に大いなる貢献が期待される。次に上の結果を一般のp進表現に対し拡張した。この結果によりp進表現の解析をp進作用素環論の還元により法p左加群の代数的計算に帰着させることが可能になり, 更にp進表現の族に標準的な付加構造を定めた。この付加構造はスペクトル理論・ブロック理論・フーリエ変換理論といった古典的な分解理論を含む巨大な一般化である。更に副有限群のP進連続表現の岩澤型双対理論を局所副有限群に拡帳した。これにより従来の双対理論では直接的な手法で扱えなかったp進線形代数群も同時に扱えるようになった。そしてp進解析の重要なテーマとしてp進可換作用素環のスペクトル理論が考えられるが依然未発達の分野であった。そこで一般の空間に対しp進連続関数の解析を完成させ、ゲルファント理論とストーン双対理論という理論のp進化に成功し、自動連続性に関するカプランスキー予想の弱主張のp進化の肯定的証明を与え、p進解析のある命題が数学の基本的な公理系からは証明も反証もできない命題であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提出した研究計画の1年目の内容を大幅に上回り2年目の内容にまで手を出すことに成功したため。実際この1年間余りでプレプリントサーバーに投稿したプレプリント数は5本と、数理科学研究者としては異例の早さで研究が進んでいることが分かる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の成功を鑑みると提出した研究計画の2年目の内容におおよそ沿って研究を行うことで更なる躍進が期待されるが、従来の想定より研究進行が順調であるため研究計画を前提にした上でそれ以上に視野を広げて新しい方法論を吸収していくつもりである。研究テーマが数学全体を統べる分野横断的なものであり物理学との相互作用も期待される分、多角的なアプローチを持って研究を行うことで研究目的の達成もしやすくなると思われる。
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Research Products
(5 results)